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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

愛の果て。守りたいのは、愛しい人。 9

   2016年9月8日  

周子ちかこが襲われる。
犯人は劇団員か関係者ではないかと刑事に言われ…
 

「噂ってどこから出回るかわからないだろう? 別に仲間を信じなかったわけじゃない。でもさ、ファンには全盛期の頃の天藤あきらのイメージで居続けたかった。だから、芸能入りも考えなかったし、幾度となく誘われた講師も断っていた。だけど、エリカの姿を見ていくうちに考え方が変わってきた。歳を重ね衰えていく肉体、美貌、そして人気。いつまでも全盛期のままではいられない。それでもエリカは女優を続けている。なぜだろうって。それって演じるのが好きだからに限るってことだろう? 先生にも言われた。好きという思いは誰にも阻止できない感情だって。次世代に託すのも翼を休めた者の使命だって。毬藻エリカは自らの女優人生を芸能界というところで見せ続けている。きっとそんなエリカを見て女優になりたいと思う者もいるかもしれない。小さな種の中には天藤あきらがどれほどすごい役者だったかを知らないが、教えを受けて羽ばたく者もいるだろう。そうやって繋ぎ続けていくのだとおっしゃった。僕が会得したステップを覚えて羽ばたいていく未来の役者がいる、そう考えたら素晴らしいことだって思えはじめて。そう考えられると、ファンだって僕が故障知らずなわけがないって、知らないところでそういうことにもあって必然だと思ってくれるかなって」
「あ、当たり前だ、あきら。あなた、本当に踊ること以外は駄目ね。故障すればファンならお大事にって言ってくれる。故障するなんて自己管理が足りないと叱咤するのは身内及び関係者。もう……」
 煌が涙ぐむ。
 誰よりも長く劇団に残り多くの役者を迎えては見送ってきた人。
 退団の理由は役者の数だけ多々あっただろうし、相談も受けたことだろう。
 でも、ひとり悩んで退団後も尾を引いていた天藤あきらをもっと早く助けてあげたかったことだろう。
 エリカははじめて聞かされるあきらの告白に、驚きと戸惑い、それと打ち明けてくれた嬉しさが混ざり合い、気持ちの起伏が激しくどう答えればいいのかわからない。
 そんなエリカを気遣うように、歌穂が背中をさする。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
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