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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season14-9

   2016年9月9日  

 大地が怪盗レオパルドと見破った水桐。それは大地の能力が発動されていないことだ。

 いつになく危機感のない日常を過ごしているからだ。御影が逮捕されたときに現れたさい、すでに大地に成り代わっていた。

 水桐はそのときから違和感を感じていた。警戒心を持つ大地がこんなところにこない。

 写真の老人はいったいなんだったか。それも変装した怪盗レオパルドだった。

 森谷と同様なことをしていると雲田は明かす。

 大地はまさかそんな能力を持っていた人物になりすましていたとはしらなかった。

 怪盗レオパルドのミスだった。

 そしてついに怪盗レオパルドの仮面が剥がれる。そしてその目的とはいったい?

 暴いた正体の裏には大地の安否が懸念された。御影たちは忘れていない。仲間がどうなっているのか、胸中ざわめいていた。

 そんななか、怪盗レオパルドはこの窮地を勝ち誇ったかのように笑ってみせる。

 逃げるだけの算段があるというのだ。

 その方法に蒼白する警部たちだった。

 

 水桐は大地のようすがおかしいことに気づいた。いつになく危機感を感じていない日常を過ごしている彼女の雰囲気に違和感をずっと抱いていた。

 そのため距離をややおいていた。社用の車の後部座席で隣ですわっていたときもだ。

 警戒心をまるでなく過ごしている。それはまさに大地の能力を理解していない。しらないで変装したのではないか、という疑念だった。

「写真に写っている老人…」雲田が話はじめた。「あの老人はきみが変装したものだろう。こちらにも日常からフェイクな生き方をされているひとがいるものでね」

 森谷がにんまりと微笑んだ。

「昼間の出来事を精査してみたら忘れていたことがある」川上がいった。「老人の姿をしっていた俺たちは、南青山の展示場で老人らしき人物はひとりもいなかった。ということは老人が変装して内部に侵入している。そう考えるだろう。だが、ちがう」

 御影は頷いて話をつづけた。「老人に変装して、栗原、尾ノ上と会っていたのは、真の怪盗レオパルドだった。つまりきみだってこと。老人のイメージを俺たちに植えつけたかった」

 警官は真の怪盗レオパルドが女か、とつぶやいていた。

「尾ノ上のアパートにいったとき、きみが仕込んだ。その写真を?」森谷がいった。自分の単独調査のときにおとずれたさい、DVDデッキのうえにソフトが乱雑したのは調査した森谷のせいだった。

「整理整頓できないひとじゃないんだけどな」御影がいった。

「それは怪盗レオパルドが老人であることを印象づけるためのフェイク。まんまと脳内にイメージを作り上げてしまったよ。わしたちはね」森谷は苦笑していた。

「御影くんは心底騙されていたのよ」水桐は、大地にいった。

「き、気づいてましたよ、違和感には…」御影は反論した。森谷を見たのは透き通して背後にいた大地だった。やはり違和感は御影もとうぜん気づいていた。

「水桐くんも気づいていたが、ほかの探偵には相談しなかった。もっとも確証がないことだからいえなかったのだろう」森谷はなおも微笑みを浮かべていた。

「わたしの普段の態度から違和感をおぼえた?」

 水桐はいやらしく微笑んだ。

「そうだとも。把握しているよ。みんなのことはね。そして大地ちゃんのことも…、だから違和感はぬぐえなかったのだよ」

 視線が大地に集まる。

「おい、ってことはこの女の子が真の怪盗レオパルドなのか。これまで数々の犯行予告を指示した首謀者だというのか?」警部は目を見開いて驚愕の顔がまぬけだった。

 水桐はおもわず顔を伏せた。笑いそうだった。

「そうですよ」御影は答えた。

 

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