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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

愛の果て。守りたいのは、愛しい人。 10

   

これ以上、被害者を出すわけにはいかない。
エリカは決意を固める。
自分が囮になり犯人をおびき寄せると言い始めた。
エリカには犯人の目星がついているらしい…

 

「周子さんはそういう記念の物は持ち歩かないそうです。実家にあるそうなので、後日、必要なら持ってきてもらうとのことです。煌さんはどうです?」
「私? 私も持っているけど? 周子と同じく実家にあるから、必要なら送らせるけど?」
「わかりました。毬藻さんは? 静子さんはどうでした?」
「母がそれをどうしたかは知りませんが、私のは家にあります。家宅捜査の礼状でもとって、どうぞ自由に確認してください」
 まだ任意の状態で礼状を取ることはない。
 それを知ってふっかけているのか、それとも無実だから言えるのか……
 ふたりの間に緊迫した空気が重々しく漂う。
 耐えかねた煌が「弁護士、呼ぶから待って」と言うと、宮前刑事の方から視線をはずした。
 ほっと安堵のため息をついたのは、あきらだった。
「エリカ、ハラハラさせないでくれ」
 と、あきら。
「全くだよ、エリカ。警察に喧嘩ふっかけてどうするの」
 と、煌が立て続けに安堵の言葉を口にした。
「そんなつもりはないわ。私は罪を犯していない。だから勝手に調べられても平気。ついでに宮前刑事、そのキーホルダーに私の指紋はありましたか?」
「それはまだ。でも、あなたが渡したのなら指紋はあるでしょうね」
「ええ、そうかもしれませんね。おひとりずつ、できる限りお声をおかけして渡しましたから」
「指紋があることへの言い訳は、証拠がでたときに聞かせてもらうわ」
 それを去る直前に言い残し、所轄の刑事と入れ替わるように立ち去って行った。

 

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