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SF・ファンタジー・ホラー

幻異綺譚<8> カレンダー

   

 カレンダーに数字が並んでいます。
 数字のひとつに、マルが付いています。
 そのマルの日は、小説の締め切りなのです。
 マルの日が次第に近づいてきます。
 為す術もなく、マルの日が近づくのを、ただ見るだけ……。
 これは怖いです。
 幻異の世界より、はるかに怖い。

 

 小林警部は、ぼんやりと外を眺めていた。
 平日の昼間、都心のコーヒールーム。
 仕事に疲れたサラリーマンが一服している、といった光景ではある。
 だが、このコーヒールームに、普通のサラリーマンが来ることは、滅多になかった。
 法曹関係のビルの一階にあるため、客のほとんどは、検事、弁護士、そして警察関係の人間なのだ。
 小林警部も、仕事に疲れて、ここにいるのではない。
 事件の事を考えているのである。
 和泉信行の死、それが事件であった。

 

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