幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

幻異綺譚<11> 永久に

   

 幻異綺譚、第11話。
 縁起の良い数字になったので、これで幻異綺譚は中締めとします。
 もちろん、幻異の世界は続きますが……。
 続きます……、永久に……。

 

 私は、その中年男のことを「次郎さん」と呼んでいた。
 飲み屋の女将が「次郎さん」と呼んでいたので、それを真似たのである。
 年下の私が、女将と同じ「次郎さん」でいいのかどうか、こまかい礼儀作法をいえば問題があろう。
 彼自身にも、そういうことにこだわる雰囲気があった。
 だが、私には、小うるさいことを言うことはなかった。

 大学を出た私は、大阪に本社のある情報機器関係の会社に就職した。
 1年後、東京の支社へ転勤になった。
 まだ独身であった私は、会社とアパートを結ぶ路線で、いろいろと遊んだ。
 そのうち、1日の最後、アパートへ帰る前に寄る飲み屋が、1つ決まった。
 そこの常連だったのが「次郎さん」なのである。
 中年の、気むずかしい感じの男であった。
 厳格な校風で知られた小学校の校長先生、といった雰囲気なのだ。
 私からすれば、年も離れているし、性格も違う。
 飲み友達になる人物ではないはずなのだが、どういうわけか、初対面から、うち解けてしまった。
 俗に言う、馬が合う、ということなのだろう。
 どちらかというと、「次郎さん」が話しをし、私が聞き役となる、そういう飲み方をした。
 アパートで寝る前の、くつろぎの時間として、楽しいものであった。
 これが、東京での、私の生活だった。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


コメントを残す

おすすめ作品

アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第34話「それでも――――」

   2017/11/20

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】15

   2017/11/20

ロボット育児日記39

   2017/11/17

忠実な部下たち

   2017/11/17

モモヨ文具店 開店中<36> ~帰り行く者~

   2017/11/16