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SF・ファンタジー・ホラー

魅舞唄師1〜唄を捧ぐおとぎ話6〜

   

試験後昼食をとっていたアルレイナに、ユウが不満をもらしていた。

そしてカルスは、馬車の中でアルレイナの謎に迫る……。

 

「絶対におかしい!」
 アルレイナの目の前で、唐揚げにフォークをぶすりと刺しながらユウが怒鳴った。
 アルレイナはというと、それを前にして不思議な気持ちで「はあ……」と曖昧に返事をするのみだった。
(何でユウと一緒に昼食食べてるのかしら?)
 ユウと知り合ってから今まで、こんな風に昼食を共にしたことなど無い。
 なのに何故今日に限って一緒に食べているのだろう。
 最初はアルレイナがこの席に座って食べていた。
 そこにユウが「ここ、いいか?」と言って、アルレイナの返事も待たずに座ったのだ。
 断る理由も無かったので座るのは別に良かったのだが、他にも席は十分空いているのに何故ここに?という疑問がどうしても浮かぶ。
 しかもなんだか不機嫌だ。
(何で不機嫌なんだろう……?ユウは試験合格したはずなのに……)
 そう思って、アルレイナはまだユウに祝いの言葉を言っていないことに気が付いた。
「そういえばユウ、試験合格おめでとう」
 無難な祝辞を述べると、何故かユウはアルレイナを睨んだ。
(え?何?)
 ユウの睨みに一瞬怯むアルレイナ。
 そんなアルレイナにユウの怒声が飛ぶ。
「まさにそれがおかしいんだ!」
 唐揚げを指したフォークをアルレイナに向けながら言うユウに、アルレイナは「ど、何処が?」と聞き返すことしか出来なかった。
「何で僕が合格で、お前が追加試験なんだ!?」
 おかしいだろう!?と付け加える。
「……何処が?」
 やっぱり分からないとでも言うように、同じ言葉を繰り返すアルレイナ。
 対するユウは、それが更に癇に障ったのか怒りを増して立ち上がった。でもその怒りが頂点に達し、通り過ぎて冷めてしまったらしく、何かを言う前に椅子に座りなおした。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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