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SF・ファンタジー・ホラー

なな★しき 〜次元管理員 七尾と志紀子〜 第5章 答えられない

   

「二人はつき合ってるの?」
七尾との関係を興味津々で聞いてくるクラスメイトに、志紀子は迷う。

『それはない』
そう答えてしまえば簡単なのに。

七尾との「普通」ではない関係性に、志紀子の答えは、出ない。

 

 平日のある朝だった。

『次元ゲートから、受信だけ出来るようになったようだ』
『えっ』
 朝の支度をしながら、七尾からの報告である。
『やっと、ゲートの通信システム修復に着手できたらしい。……こちらからの送信や、次元の行き来はまだ無理だが、情報部から夜中にこの通信だけ、な』

 ──げーとノ修復中。暫シ待テ。

『昼頃には送受信可能になる予定だから、指定時刻にゲート前で待機しろとの話だった。昼休みに部屋を借りる』
『うん。……私は、まだ同席しないほうがいいのね?』
『悪いな。お前のことは今回報告するつもりなんだ。できるだけ早めに戻るから、その間は絶対に一人になるなよ』
『りょーかい、教室にいるよ。でも、七尾くんも怪我が治りきってないんだから、気をつけてね』
『ああ』

 そんな会話をした登校から、いくつかの授業を経て迎えた──昼休み。

「ねぇねぇ志紀子。七尾くんとはどうなったの?」
「え?」
 その七尾が『用事でちょっと席を外した』隙に、女子クラスメイトたち数人が、志紀子を囲んだのである。
「な、なに。七尾くんが何?」

 ──彼の正体が疑われている!?

 思いがけない事態。タイミングも手伝って、うっかり身構え、動揺してしまうと。
「あ、その慌てぶり?」
「あやし~」
「え、えと、だから何……」
「ん、もう。ごまかさないのっ」
「へ……」
 その反応を何か別の方向に誤解した女子たちは、ニヤニヤ。
「学寮と校内、いつも一緒じゃない」
 いつも一緒すぎて隙がないので、今やっとこうやって聞けるチャンスを得たのだと。
「七尾くんは、確実に志紀子のこと意識してるよね、うん」
「は!?」
「志紀子はどうなの、ねえねえ」
「ど、どうって」
(……これ、いわゆる『恋バナ』ってやつ!?)
 いや、二人の仲を怪しむ噂が流れていることくらいは小耳に挟んでいたが、まさか直接聞かれるとは。
(でも、えと……。みんなに七尾くんの正体がバレたわけじゃないと判断して、いいんだよね?)
 ホッとしたものの。だがこれは別の窮地である。興味津々な皆の視線があつまる中。
「ど、どうって聞かれてもなぁ」
 もしも正直に答えるなら「命がけの協力関係」が妥当であろうが──当然、言えるわけもなく。
「んー。七尾くんの身内に頼まれて、保護者代理みたいなもの、かなぁ……?」
 動揺に動揺を重ねて思考低下に陥ってはマズい。志紀子は、表向きの理由としている話からの延長のような言いっぷりで、トボケる手段を選んだ。が。
「んっもー。そういう意味じゃなくてぇ」
「七尾くん、意外と人気あるんだよ」
「そ、それがどうか……」
「だから! 二人はつき合ってるのかどうか、はっきり教えてよって話なのっ」
「!」

 

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