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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season15-4

   

 咲下刑事が探偵に状況を説明する。ショートカットの似合うかわいらしい女性刑事だ。

 探偵たちは斉藤から事情は先日聴いて把握しているといった。

 だが、一日で急変したという。

「変死体の解明ができた」

 黒羽警部は依頼しておいて、いらない、といえなくなってしまった。大人として気を使ったのだろう。

 御影はトリップ気分が上昇していた。

 が、火守は咎めて死因をたずねる。

「自殺」それが豊岡北警察署の刑事たちの見解だった。

 しかし、探偵たちはその判断に指摘をする。

 自殺するには遺体の恰好が薄着だった。そして所持品がない。身許を知られまいとしたんではないか。と探偵は刑事に指摘する。

「他殺」探偵たちの見解は、そう結論づけてここへ来たのだ。

 食い違う両者だが、探偵たちは新情報を得てさらに一歩上をいく。

 豊岡北警察署の会議室で刑事たちに探偵としての推理を披露する。

 そこで御影たちは、噛みついてくる古臭い刑事たちの固い頭を納得させるだけの言葉をぶつけるのだった。

 

 黒羽警部が咲下刑事に氷室探偵事務所の探偵三人に状況を説明した。

「わたくしが説明いたします…」

「いちおう」火守が先手を打った。時間の節約のために。「こちらの事務員の話から伺っていますけど…、それ以外に新情報でも?」

「はい、このたった一日でほんとうは状況は急変して…」咲下刑事は声を抑えながらいった。

 おそらく黒羽警部に気をつかってのことだろう。

「ええ、そりゃないよ、ここまできて」火守は愕然となった。

「変死体の解明で来たのに、それがわかったのか」川上がぼやいた。

「はい、すみません。いちどお呼びしたのに、やっぱりいらないとはいえませんので…」悪びれる新米刑事。

「いいじゃないすか、おみやげ見にいきましょうよ」御影はひとりトリップ気分だ。

「バカやろう」火守は咎めた。「ところで死因は?」

「自殺かもしれないんですよ」咲下はいった。

「自殺…」御影は目を細めた。

「へぇ、かなり美人なのに…、なにがあってそんな愚かな決断を」火守は関心すら失せていた。

 この世でもっとも愚かな死に方がある。それは交通事故死と自殺だ。

 どちらも気をつければ回避できること。もっとも背後から突っ込んできた車には対処はできないかもしれないが、確実に自殺は文字通りのこと。あきらめる意味がわからない。
 明日を生きるために食べて寝て呼吸をする。それから逃げるということは愚者だ。

 新米刑事は話す。「それはわかりません。外傷がないのと、毒物もないですし…、自殺とか考えるのも一理あるかと」

「待って、突き落とされた可能性は?」御影は指摘した。

「それが身なりに争った痕跡はなかったので…」刑事はいった。

「だが」ここで御影が推理を話す。「2月であの恰好は寒すぎやしませんか?」

「えっ?」咲下は目を見開いた。

「われわれの見解は車で移動中に、車中で殺されるか眠らされたかして、橋から投げ捨てられた。つまりが他殺──」火守がいった。

「むしろ自殺という浅はかな見解はないと思うよ」川上が勝ち気にいった。

「はぁ、すごいですね。そういう理論が成り立つんですね」咲下の思考力ではまだ、こういう発想はない。あくまで上の人間の考えが擦り込まれている。

「なるほど、そうですか」黒羽警部が御影たちのところにきた。比野宮刑事と伊根刑事もいた。

「そうですね」川上が答えた。

「でも、外傷もなく衣服に争った痕跡がないというのは不自然やしませんか」比野宮が反論した。

「まぁ、うまくやったんじゃない」火守がいった。

「なんだ、けっきょく有名な名探偵のいる探偵でも、しょせんならず者とかわりゃしない」伊根が揶揄した。

「おい」比野宮が抑制した。

「いいですよ」火守が笑った。「だって、この現場をみてわれわれには新情報を得た。だからあなたたちが頼むというのであれば教えようと思ってはいますけど…、なぁ御影」

「もちろんです。そのために来たんですから」

「なら教えてみろ」伊根が膨れた顔でいった。

「教えてもらえますかな?」黒羽警部も頼んだ。

「ええ、いいですよ」いちど火守の顔をみてから御影が答えた。

 

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