幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ノンジャンル

エリカの花言葉 第2話 ヘンルーダ《軽蔑》 2

   2016年10月4日  

 堀北中学校に入学して三ヶ月が経つと、弘行は不良気質であることから、級友と馴染めずに学校へ来なくなっていた。
 そんな弘行のことを、洋平も自分とは別種の人間であったのだと思い始め関わりを持たなくなるが、その様子を恵里香は不満に思っていた。
 恵里香は弘行が学校に来るようにと動き始めるが、生徒達はそれを望んではいなかった。

 

 四角四面の広場に、小さな砂場だけある公園には、両脇にベンチが備え付けられていて、朝の早い時間なら高齢者がゲートボールを楽しんでいるが、遊具等の無い公園に、今の時間は誰も集うことがない。そのベンチに洋平と恵里香は腰を掛けると、洋平はパンを半分に分けて恵里香に差し出す。
 分けたパンの中にイチゴジャムとマーガリンが入っているのが見えると、ある日のことを思い出した。
 洋平も小学生の頃、同級生の家に給食のパンを届けた記憶がある。だが、それは苦い記憶であった。
 古びた家に住んでいて『お化け屋敷』とからかわれていた東山宏太のことだ。
 宏太はどんなに周りから揶揄われたり、馬鹿にされたりしても学校は無遅刻、無欠席の優良児。そもそも宏太が揶揄いの的になったきっかけは『給食』だった。
 小学校三年生の頃。宏太は給食が配膳されると、皆が揃う前に、一人だけ貪るように給食を食べ始める。そしていち早く食べ終えると、もう一人分くらいの量をおかわりする。その姿は腹を空かせた人間というよりも、飢えた獣のようで見苦かった。
 始めは担任の先生も注意していたが、いつからか急に注意することがなくなり、それどころかスープの入った寸胴を宏太の席まで持って行き、おかわりを注いであげるような時もあった。
「あいつの家、きっと貧乏なんだよ」
「狼の子供じゃないのか?」
「給食食べたいから、学校休まないんじゃないか」
 宏太が学校に来ると、皆が決まり文句のように「狼が来たぞ!食われるから逃げろ!」と言って教室から出て行く。宏太が席に着こうとすると机の上には、誰かが前日に食べ残した給食のパンが、カサカサに乾いて置いてあり、ジャムやマーガリンが机にベタベタと塗られている。
「狼が餌に掛かったぞー確保!」と言いながら、ゴミ箱を頭に被せると、宏太は机に身を伏せて、洋服にはジャムやマーガリンが染み付いていた。

 

-ノンジャンル
-, , , ,


コメントを残す

おすすめ作品

オクターヴ上げて奏でる<1> ポロネーズ

   2017/12/11

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】21

   2017/12/11

私たちの結婚

   2017/12/08

生克五霊獣-改-2

   2017/12/08

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】20

   2017/12/07