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エリカの花言葉 第2話 ヘンルーダ《軽蔑》 3

   2016年10月6日  

 堀北中学校に入学して三ヶ月が経つと、弘行は不良気質であることから、級友と馴染めずに学校へ来なくなっていた。
 そんな弘行のことを、洋平も自分とは別種の人間であったのだと思い始め関わりを持たなくなるが、その様子を恵里香は不満に思っていた。
 恵里香は弘行が学校に来るようにと動き始めるが、生徒達はそれを望んではいなかった。

 

 翌日、洋平が登校すると弘行はいつも通りのように席に着いていた。
「よぉ」と声を掛けられると、洋平もいつも通りを振舞い、軽く手を挙げて挨拶を済ます。
 久々に登校してきた弘行だからといって、他の生徒達は弘行に話し掛けることもなく、金髪頭の姿に距離を置いている様子。はしゃぎだしたのは、後に登校してきた恵里香だけだ。
「わぁ、ヒロ君来たんだ!よかったぁ」
 何故か分からないが、恵里香の大袈裟な反応に、洋平は嫉妬を覚える。
「うーん、でもやっぱり金髪は似合わないなぁ」恵里香が弘行の頭を前後、つむじまでジロジロと見回すと、弘行は恵里香を『シッ、シッ』と、蝿を退くように手で追い払う。
「よく、校門で注意されなかったな」と洋平が問い掛けると、弘行は窓から見える校庭の隅を指差して、「通用口から来た。あっちの方が家に近いから」と、それが悪行でないことのように平然と話す。
 チャイムが鳴り教室に菅村が入ってくると、弘行と目が合いニッコリとは笑うが、やはり金髪頭が気になっている様子である。
「おぉ、どこの国から転校生かと思えば嶋岡か、おはようと言いたいところだが、その髪じゃぁ駄目だ。黒くしてから学校に来なさい」
 髪の色を指摘されることは分かっていたが、大人が言う当たり前の言葉が、弘行には面白くない。菅村の茶化すような言葉を聞いて、生徒が含み笑いをしているのも気に食わず、弘行は乱暴な仕草で鞄を手に取ると、席を立ち上がり教室から出て行った。
 クラスの女子は数人ほっとした表情を見せるが、折角登校して来た弘行を追い払うような雰囲気が気に入らない恵里香は、席を立ち上がると教室を飛び出して弘行を追い駆けた。
「ヒロ君、待って!」呼び掛けても立ち止まろうとはしない弘行の手を恵里香が後ろから捕まえると、弘行は振り払ことなどはでずに、ピタリと足を止める。
「ヒロくん、教室に戻ろう」その言葉に対して弘行は首を横に振ると、恵里香の掴んだ右腕をそっと振り解いて、「なぁ、昨日は悪かったな……それを言いに来ただけだから」と話す。
 意外な言葉を弘行の口から聞いた恵里香は、思考を停止されたように頭の中が真っ白になってしまうと、去りゆく弘行を止めることができなかった。
 
 教室に戻った恵里香は不満に思う気持ちを抑えきれず、食って掛かるように教壇の前へ立ちはだかると、躊躇のない荒ただしい口調で菅村に食って掛かる。
「折角学校に来たのに、何で帰したんですか」
「何でか?それは、嶋岡が校則違反をしているからだろ」恵里香の問い掛けに、菅村は言葉を選ぶことなく答える。
「でも、帰すことはないと思います」
 恵里香と菅村が討論する中、他の生徒達は弘行のことなどはどうでもいいような様子でガヤガヤと話す雰囲気を、洋平はどちらつかずに見ているだけ。
「勘違いしてないか?学校へ来るのは当たり前のことだぞ。来ない方がいけないのだ。それを学校へ来なかった者は金髪でもよくて、真面目に来ている者は駄目なのか。どうだ?杉浦、先生の言うことに間違いがあると思うなら答えてみなさい」
 その問い掛けに恵里香は答えることはできず、菅村が「席に戻りなさい」と言うと、言われるがまま席に戻った。
 席に着いた恵里香の横顔を洋平が見ると、どこか釈然としない表情に見えた。

 

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