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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season15-8

   

 御影たちは黒羽警部の運転する車に乗っている。西宮市の駅にちかい交差点で路駐している。

 ここが終着点。野村を確保するポイントとして、菊川に誘導してもらうよう提案した。

 そして蜘蛛の巣となった交差点。刑事たちが網を張っているなかに、菊川が運転する車に野村も搭乗していた。

 黒羽警部の合図とともに交差点を封鎖した。一般人は唐突な捕物帳に驚いた。

 伊根が銃口をむけて野村を抵抗させまいと投降するよういった。

 だが、一瞬の駆け引きの中で刑事たちは負けた。

 まだ車にキーが挿してあった。運転席に飛び乗りエンジンをかけ、眼前にいる捜査員を撥ねて逃走に成功した。

 マスコミにリークした警察は一部始終を撮影することを許可した。

 ライブ放送は野村逮捕後にしてもらうよう留意したが、結局、警察の失態を報じることになってしまった。

 

 御影は西宮市内にいた。豊岡北警察署の乗用車に、黒羽警部の運転で、火守が助手席、川上と御影が後部座席乗車している。

 土地勘のない東京で慣らした運転もここでは通じない。

 全員が黙って周囲を警戒するようにちらちらと眼球を動かしていた。

 車道の反対側には、咲下、比野宮、そして伊根も路上で待ち惚けのように一般人にまぎれるようにしてたたずんでいた。

 川上があきらかに刑事の臭いがするけどな、と揶揄していた。

 ほかにもここら一帯を警戒網を張り巡らせていた。黒羽の部下たちや西宮警察署の応援で警官が私服で見張っていた。

 西宮市の人通りの多い交差点。駅から少し離れた交差点だ。そこをかならず通り過ぎる。

 終着地点にしたのは探偵三人の考えであった。

 いまこの交差点は蜘蛛の巣と化していた。ある人物を確保するために。

「きたぞ!」

 耳につけたイヤホンに黒羽の声が一斉に捜査員にとどいた。

「菊川だ…」

「いたいた、菊川が運転する車だ。後部座席に野村がいる。帽子をかぶってマスクをしている。確実だな」川上が実況をする。

「躊躇いはなしだ。確保! 交差点を封鎖!」黒羽が現場指揮をとり吠えた。

 刑事、警官がぞろぞろと駆け出してきた。運よく赤信号によって阻まれている。しかも前列から三台目の位置にいた。前方は一般車によって閉ざされている。これで逃げようがない。

 菊川の運転する車は封じられた。

 交差点も封鎖し、人通りが多いこの場所がいっきに緊迫な状況に変わった。

 まるで大犯罪者を逮捕するかのようなものものしさに、一般人は驚愕していた。

「出ろ!」伊根が吠えた。右手に銃を握り、菊川に向けている。左手には警察の証であるバッチを見せた。「警察だ。野村 太地、後部座席にいるな。でるんだ。きさまにはある重要な容疑がかかっている。抵抗せずにでてこい!」

 車がやや揺れている。一台の車に大勢の黒服の刑事やヘルメットやプロテクターを着用している警官が囲んでいた。菊川はすでに車のエンジンを切った。鉄のかごに隠れている意味はない。いずれ引きずりだされるのは時間の問題だ。

 菊川はすぐにでてきた。その姿を後部座席の男は帽子とマスクの間から鋭い眼光でにらんでいた。

「おまえ、裏切ったのか…」

 やっと気づいたようだ。

「すみません」車体の横で顔だけ車内にのぞきこむように後部座席の男を見据えた。「もうおしまいにしないと、あなたは殺人者らしいじゃんか」

 あきらかに動揺している後部座席の男だった。

 

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