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マリアベル戦記 第十四話 ドSメイド 2

   2016年7月12日  

リディアと気持ちが通じ合ったハヅキは、彼女のことをもっと知りたいと願い……

 

「うぅ……強いて言うならハヅキは『お兄様』みたいな感じです」
「兄貴?」
「なんていうか、いつも私やアオイを一歩離れた位置から見守ってくれているようなところがありましたから。一緒に居ると安心出来ますけど、でもアオイと一緒に居るときのような気持ちにはなりませんでした」
「なるほどねぇ」
 確かにハヅキはそういうところがある。
 俺とリディアのことも楽しみながら傍観しているし。
 ハヅキが本気でリディアを狙うつもりなら俺もここまでしなかっただろう。
「ところで……」
「ん?」
「アオイはどうして……私なんでしょう……」
「んー……どうしてって言われると難しいな」
「わ、私だけ言わせるのはずるいです」
「いや、まだ言ってないだろ。ハヅキを選ばなかった理由は分かったけど、俺を選んだ理由はまだ聞いてないぞ」
「あうぅ……その……特に理由は無いんです。気がついたら……という感じで……」
「へえ~。なら俺も似たようなものだな」
「そうなんですか?」
「気がついたらというよりは、初めて会ったときからだけど」
「ええっ!?」
「一目惚れって奴を初めて経験したな」
「……その割には普通でしたよね。今までもそれらしいそぶりは見せませんでしたし」
「筆頭公爵家の次期総領にはポーカーフェイスが必須技能なのさ」
「確かにその通りですね。でももう少し素直になってくれてもいいのに……」
「今は素直だぞ」
 リディアを引き寄せてからそのままキスする。
 気持ちが通じ合えたのなら遠慮するつもりはない。
「ん……ふぅ……」
 リディアも拒絶することなく応じてくれる。
 関係が変わるのは実にあっけない。
 昨日までは触れることすら躊躇っていたのに。
 唇を離すとリディアがとろんとした瞳で俺を見上げる。
 雰囲気に弱いのかもしれない。
「うーん。また押し倒したくなってきたなぁ……」
「だ、駄目ですっ! これ以上されたら動けなくなりますっ!」
「介抱は任せろ」
「嫌ですっ! 介抱するとか言ってまた押し倒してきそうですしっ!」
「……信用ねえなぁ」
「あれだけ滅茶苦茶しておいて信用されると思う方がどうかしてるんですけど……」
「いや。そもそも俺は本当に手を出すつもりなんてなかったんだぞ」
「え?」
「おとなしくソファで寝るつもりだったし」
「う……」
「でもあそこまで強引にベッドに引き込まれたり、誘われたりしたら我慢出来なくなるのは当然だろ」
「あうぅ……」
 リディアが悪いんだと主張してみる。
「それはそのぉ……悪かったと思いますけど……。反省してますけど……」
 急に勢いをなくすリディア。
 やはり自分に非があると認めているのだろう。
「あそこまで強引なら、手を出してもいいと思われても仕方ないじゃないか」
「そ、そうですよね……はあ……」
 大きなため息をつくリディア。
 本人にそんなつもりはなかったのだろう。
 あそこまでしておいて、そんなつもりはなかったと言われても正直困るけど。
 でもそれなら、どうしてリディアがあんなことをしたのかが気になった。
 誘ったつもりではないのだとしたら、一体どんな理由があるのだろうか。
「どうしてあんなことをしたんだ?」
 気になったことは直接訊いてみるのが一番いい。
 答えてくれるかどうかはまた別なのだろうけど、訊くだけなら問題はないだろう。
「い、言わなきゃ駄目ですか?」

 

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