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ファンタジー

DISCORD BRAKERS – 2 [ 4 ]

   2016年9月14日  

 もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

───イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

 割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 

 一方その頃、異世界であるスベラニア王国内の、荒れ果てた土地の一角で。

「おのれ……!おのれキラ=ウォルダー!」

 身体中からドス黒い瘴気を漂わせ、身体の一部を失った禍々しき魔物が雄たけびをあげていた。
 一見女性と魔物が融合した美しい部分もあるように思われるが、
 身体中はひびが入り、そして肩から腰に掛けて左半分を失っている。
 口からは緑色のおどろおどろしい液体を垂れ流し、女性であると認識されていた美しい顔立ちは、その四分の三が融けている。

 魔物の名前は、メア。
 そう、先日奏達のいる世界にてキラを襲った魔物であった。
 メアは、姿こそ女性の形をしているが、その内面は残忍かつ獰猛な魔物である。
 自由自在にその姿を変化することが出来、相手を惑わせては容赦なく魔力をぶつけその身を砕く。
 気性が荒く感情に任せて戦うことが、メアの短所でもあり長所でもある。過去にルーン王国近衛騎士団と戦いを余儀なくされた際、キラに自慢の尻尾を切り落とされた経歴があり、それ以来キラに執着していたのだ。

 この度、スベラニア国国王・ヒューゴの命でキラを追って奏達のいる世界へと来たのだが、メアにしてみれば国王の命令など関係はなく、ただ単に自分に屈辱を与えたキラを倒す為だけに戦いを挑んだ。だが、こちらの世界の「もう一人の自分」と共存ではなく「取り込む」という強引な魔法を行っていたため、力が完全にシンクロせず、本来の力を出し切る前に再びキラによって退けられてしまったのであった。
「音律の魔術師」の七色の光輝く剣により深手を負ったメアであるが、それでも辛うじて命を落とすことはなく、こうして自らが普段生息している荒野へと戻ったのであった。

 そんなメアを、仲間―――ではないが、スベラニアに居る際は街や森を共に焼き尽くし殺戮を繰り返し行ってきたメア同様の魔物が眺めていた。
 魔物の名は、モノス。獰猛な牙と大きな羽、そして……鋭い爪が特徴の怪鳥であった。
 モノスは鋭い爪で獲物を引き裂き、獰猛な牙で獲物を切り裂く。大きな翼は、その大きさからは想像できない程自由にそして繊細に動き、どんな獲物も追い詰めるスピードを出すことが出来るのだ。
 魔物には、当然だが「仲間意識」などを育む感情や心など欠落している。モノスに至ってもそれは同じで、モノスは傷つき戻ってきたメアを心配して見つめているのではない。メアを何度も退けるキラのその強さを、自らも試したいのだ。
 ただし、試したいという思いだけでは当然とどまらない。自分ならばキラを確実に仕留めることが出来る。そう、思っている。

 メアのダメージは、早々回復するものではない。
 ただ放っておいてもメアは死にはしないし、モノスに至っては別にメアがどうなろうと知った事ではない。

 モノスは、強いものと戦うことを望んでいる。
 強い者と戦い、そしてその強い者を倒す。
 強い者であればあるほど、その者が追い詰められ命を落とす直前に見せる絶望の表情がより、愉快に感じるからだ。
 ―――悪趣味極まりない、魔物である。考えようによっては、メアよりもタチが悪い。

 モノスはメアの元を離れた。
 その際、傷ついたメアの身体の一部……メアが異世界で見た「記憶」の欠片をモノスは拾い上げ自らに飛び込んだ。それにより、キラ=ウォルダー、および「もう一人のキラ」である藤崎奏の顔がモノスへとインプットされる。
 モノスはキラたちの元へ移動するべく、スベラニア王国の拠点である城へと向かった。
 そしてメア同様に「スベラニア国王勅命」という表向きの大義を取得しつつ、すぐさまキラたちの元へと飛びたったのであった。
 

 

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