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ファンタジー

DISCORD BRAKERS – 2 [ 2 ]

   2016年9月6日  

もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

───イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 

翌日。
 

「行ってきまーす!」
「母上、行ってまいります」
 

キラのことを「留学生」と魔法で設定し、それが本当に有効になっているのか分からないけれど、とりあえず奏はキラと一緒に学校へ向かった。

奏が通っている星陵学園高校は、この辺りでは(一応有名な)進学私立校だ。
大体学年の九割毎年大学進学をしている。
残りは、専門学校進学や留学。卒業して就職、というパターンの学生がほぼいないことでも、全国的に有名な高校なのだ。

卒業後に留学というケースも多々ある為、外国からの研修交流生が来ることはそんなに珍しくも無い。なのでキラをそういう設定にしたのも、実は滅茶苦茶な設定、というわけではない。
とはいえ、「出身はルーン王国です」と、こちらの世界には無い国の名前はいえない。
そこのところは、キラの環境従順能力で上手くやってくれると信じたい奏である。
……

「ねえキラ、本当に大丈夫?」
「大丈夫、問題ない。奏が言うとおり、私はお前の直ぐ傍でおとなしくしていれば良いのであろう?」
「そうなんだけど……でも確実に目立つわよね。なんたって、服がもう制服じゃないし……」
「制服……それは騎士団の服みたいなものか?」
「そんなもんよ。後で、魔法を使って制服も調達したら?」

学校への道を歩きつつ、学校での約束事や過ごし方をキラに説明しつつ、奏はキラの服装を見る。

そう。キラが学校に行くと言い出したのが昨晩だったので、奏と同じ学校の制服を用意することは出来なかった。というより、制服のことをすっかり忘れていたのだ。
でもきっとキラのことだから、すぐに魔法で同じようなものを準備することは出来るはず。そう信じたいところだ。
とはいえ、初日の今日は完全に普段着(しかもファッション雑誌で勝手に『勉強』したそうで、どこぞやの町のおしゃれボーイなる男性が着ていた服を魔法で調達していた)だし、それに髪の毛の色も深い赤。瞳の色だって、コバルトブルーをもっと深くしたような色。校則もあり、髪の色さえ黒か茶と統一されている奏達とは完全に違うし、それに加えて容姿もそれなり端麗……絶対に目立つこと、この上ない。
更に、

「……ちょっと! それ何よ!」
「これか? これは、母上殿が用意してくれた昼飯ではないか。チュウカという奴だったな、確か」
「そうね、お母さん、今日のお弁当は中華って言っていたわね、中身。いやそうじゃなくて、それと一緒に入っている瓶……」
「これは、例の甘くて美味な液体ではないか。母上殿は本当に気が利くし女性の鑑だな」
見習えよ、奏……といいながら、キラはニコニコしている。
 
 

……今日のお弁当、確か「中華弁当」。しかも中身は「チャーハン」と「シュウマイ」と聞いていたはずの奏である。
と、いう事は。
 
 

……ハチミツか?
ハチミツをまたかけるのか?
塩ベースで味付けをするチャーハンとシュウマイに、惜しげもなくハチミツをかけるのか? しかも瓶の中身が無くなるまで!

「……」
想像しただけで胸やけがする……奏は思わず、吐き気がこみ上げる口を手で押さえてしまう。

ラーメンだろうが納豆だろうがハチミツをかけまくる、この異常な味覚。
絶対に弁当にハチミツをかけていたら、他の人から倦厭される。どう考えても、目立つに決まっている。
「……ほどほどにね……」
「大丈夫、問題ない」
「大ありだっつーの!」
奏は上機嫌なキラに目をやりながら、大きなため息をついたのだった。
 
 
 
 

奏の家から学校までは、幸いなことに徒歩で十五分ほど。
二人で話しながら歩いている内に、目的地の学校の敷地を囲う壁が見えてきた。

「キラ、まずは一緒に職員室に行こう」
「分かった」
奏はキラにもう一度学校でのルールを話しながら、歩を進めていた。
と、その時だった。

 

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