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ファンタジー

DISCORD BRAKERS – 2 [ 1 ]

   2016年8月30日  

もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

───イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 

キラと共に異次元世界の魔物を退け、キラ達が探していた宝玉の一つを手に入れることが出来た藤崎奏であったが、日ごろの運動不足が祟り……その戦いの翌日は酷い筋肉痛及び筋肉疲労でダウン。貴重な日曜日を、悲しいかな、奏はベッドで寝て過ごす羽目になっていた。
その間キラは……というと、

「まあ、本当にいつもありがとう、キラ君」
「母上殿、何なりと用事をお申し付けくだされ」

動けない奏の代わり……とか何とか言いながら、母親の家事を手伝ったり、父親とテレビを見ては何やら盛り上がったり。
一体どちらが本当の子供なのか分からないくらい、奏の両親と打ち解けていた。
そしてその合間には、ちゃっかり奏の部屋で雑誌を見ながら、こちらの世界の勉強をしたりしている始末だった。

そのあまりにもこちらの世界に溶け込んでいる姿を見ていると、何だか昨日の夜の出来事が信じられないような……奏は不思議な感覚に陥ってしまう。

―――そう、昨日の夜の出来事。
キラが、「音律の魔術師」として魔物を音律魔術、といわれる魔法を使って撃退したことだ。
 
 
 
 
 

『我が名は、キラ=ウォルダー……音律魔術の名の元に、貴様を浄化する! ……チューン・ジャジメント!』

……あの時のキラは、美しい白い光に守られて戦っていた。
キラの持つ剣が音の魔法に加護されているとは言っていたけれど、きっとそれだけではなくて、キラ自身の身体から放たれているオーラ、見たいなものも合い重なっているのだろう。奏はふと、昨夜のことを思い出す。

最初は、キラのことを「随分と自意識過剰で大袈裟」な奴と思った。
でも実際にキラが戦うところを目撃したら、癪だけれど、それは嘘ではないのかな、とも思うようになった奏である。
考えてみたら、自国の命運をかけた戦いの最中、一人異次元へ飛ばされて大切な宝玉を回収しなくてはいけない。しかも、追ってくるかもしれない(実際に追ってきた)、敵国の使者や魔物を撃退して行かなくてはいかない。
……実力が無い奴に、そんな大役任せるわけないし、それに、キラならばきっと回収できると期待をされて、きっとこうやって一人、異次元世界に突き飛ばされ……もとい、鏡の中から導かれてきたのだろう。そう思うと、納得が出来る出来事でもある。
 

「母上殿、これはまた美味しそうな食事ですな」
「うふふ、キラ君が好きなハチミツもたっぷりよ」
「これは有難い!」

……ほんと、ハチミツ愛好者じゃなければもうちょっと素直に尊敬できるのになあ。
奏はキラと母親の会話を耳で聞きつつ、ため息をつくのであった。
 

 

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