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ファンタジー

DISCORD BRAKERS [ 13 ]

   2016年1月4日  

もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

───イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 

 比較的地上が無風であっても、上空六百五十メートル地点にもなれば、地上では想像もつかない強風が吹き荒れることもしばしばだ。人為的に作られたこの塔を、どんなに美しく、そして人々の役に立つためと持て囃されてそれが作られたとしても、それを神が祝福されるかどうかなどは別問題なのである。

 進むために何かに捕まっていないと、すぐさま身体を塔の外へと引き摺り出されそうなほどの強い風。
 加えて、暗闇の中あまり足元が良くない状況をなんとかこらえつつ、奏は宝玉の探索をしていた。

 エメテリオと歩いているキラからは、まだ「見つかった」との報告はない。
 ということは、奏が歩いているこちらのエリアにそれはあるのだろうか。
 とはいえ、奏はキラが見せてくれた映像の中でしか例の宝玉は見ていないし、もしも形を変えて個々のどこかにあるとしたら、見落としてしまっている可能性も高い。
 それでも、「宝玉」というからには、きっと何か輝いているものなのだろうな。
 ……

 おおよそ、もの探しをしていると思えない程おおざっぱな奏は、そんなことを思いながら歩いている。
 下ばかり向いていても見落としていたら嫌なので、たまにふっと顔を上げて、ガラスの桟の部分なども見るようにはしていた。
 気も張っているし、その内それも疲れて来るので、奏は気分転換にガラスの内側へと目をやってみる。

 するとそこには、ミーティングでもしていて遅くなったのだろうか。
 「STAFFONLY」と書かれた扉の前に、三名のエレベーターガールの制服を着た女性が立っていた。

 着替えにスタッフルームへ行こうとした矢先に時間が止まってしまったのだろうか。
 その中には、昼間奏とキラに笑顔で話しかけてくれたあのお姉さんもいた。
 他の二名はドアの方を見たまま停止していたが、お姉さんは外を向いた状態のまま、その動きを停止していた。
 偶然目が合うも、別に相手が動いたり反応したりするわけではないので、何だか奇妙な気分になる奏である。

 ……まあ、奏と例え目が合ったとしても、だ。再び時間が動く時には奏はここにいないわけで、それはそれで問題はない。

 お姉さんにはあの時言われた通りまた出会ったし、ここにも再び来たけれど、やっぱりそれは「なかったこと」になる。
 ごめんね、お姉さん。
 奏はそんなことを思いながら、再び視線を自分がいるエリアに戻し、宝玉を探し始めた。
 
 

 と、その時だった。

 

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