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ラブストーリー

恋する僕ら-約束のしかた<4>

   

二つの恋物語が折り重なる、恋する僕らの第四話をお送りします。

***抜粋***

 大切な物は大事に仕舞っておくべきだと思う。
 壊さないように優しく梱包して、埃も付かないよう、きちんと密封しておくのがいいと思うんだ。

 そしたらたぶん、僕は安心できるかもしれない。

 だけど僕の大事なそれは弱々しくて、小さくて、可愛いくておてんばで。
 ただただ大切にするしかないと思った。だからずっと傍に居て、大切にしてきたんだ。
 なのにちょっとしたきっかけのせいで、僕はその小さな手を、迂闊にも放してしまったんだ。

***

 

 大切な物は大事に仕舞っておくべきだと思う。
 壊さないように優しく梱包して、埃も付かないよう、きちんと密封しておくのがいいと思うんだ。

 そしたらたぶん、僕は安心できるかもしれない。

 だけど僕の大事なそれは弱々しくて、小さくて、可愛いくておてんばで。
 ただただ大切にするしかないと思った。だからずっと傍に居て、大切にしてきたんだ。
 なのにちょっとしたきっかけのせいで、僕はその小さな手を、迂闊にも放してしまったんだ。

「ぁ、あ」
 胃の奥から、喪失感が言葉で漏れた。倒れ伏す小さな身体が現実感を喪失させた。足元に転ぶ無惨な体躯が、僕の膝から力を根こそぎ奪っていく。
 とすん。冷たい準備室の床に、僕は崩れ落ちた。

 ちからが、はいらない。

 浮かんだのは後悔。僕が目を離したから。
 理沙は一人で、床に倒れていたのに。
 僕は。
 何をしていたんだろう? 理沙の事を大事にしていた? どこがだよ。

 床に転がる理沙は動かなかった。
 僕はくの字に身を折ったまま動かない理沙の肩に手を伸ばす。皺のついたセーラー服に触れた瞬間、指先が震えた。心が怯えた。理沙のカチューシャがからんと音を立てて床に落ちる。悲痛な無音が準備室を覆う。
 失いたくないと思った。理沙が目の前から居なくなる? うそ?

 理沙の頬に触れる。冷たい。

 嫌だ。
 いやだ。

 冗談じゃない。嘘だ。こんなのあっていいわけがない。だって。

 だって僕は、理沙を。

○○○

「理沙、理沙ッ!!」
 夢なら覚めてと思った。だけど現実はどこまでも現実で、僕の喉はただただ悲鳴を上げた。動かない理沙が、僕の胸を抉りつける。
「理沙ッ!」
 準備室の静けさを、僕の叫び声が打ち破る。
「……ぅ」
 刹那。
 理沙の唇が小さな呟きを漏らした。

 

-ラブストーリー


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