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ファンタジー

DISCORD BRAKERS [ 10 ]

   2015年12月14日  

もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

───イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 

 チケットを手に入れた奏達は、そこから真っ直ぐに展望室まで上がることが出来るエレベーターへと乗り込んだ。
 

 この「星稜スカイタワー」は、三つの展望室が設置されている。
 第一展望室は、地上四百五十メートルの部分に。第二展望室は地上五百五十メートルの部分に。そして「天空展望台」と称される三つ目の展望室は、地上六百五十メートルの部分に。
 この「天空展望台」は、その日の天候によって上がれるか上がれないかが判断されるようで、今日のように天気に恵まれた日は、風が強くなければ上がることが出来るようだ。

 奏が念のためにチケット売り場で確認をしたところ、今の所この「天空展望台」への入場制限等はないようだ。
 あの宝玉がぐるぐるとまわって消える映像と、この「星稜スカイタワー」の全貌を重ね合わせてみると、宝玉が消えたのは丁度、「天空展望台」の辺りの高さだったはず。
 なので、とりあえずはそこを目指してみようと、奏は考えていた。
 ……

「か、奏! これは何の魔術だ! 急に耳鳴りがするぞ!」
「エレベーターが上にあがっているだけよ! っていうか、声大きい!」

 とりあえず、第一展望室がある地上四百五十メートルの高さにあがるためのエレベーターの中で、キラがそんなことを叫んだ。
 奏が慌ててキラを黙らせるも、そんな奏達の会話を聞いていた周りの人たちは、クスクスと笑っている。

 ……ああ、もう今こそ魔法で透明人間にでもなってしまいたい。
 たった三十秒ほどで上まで上がれるというのに、奏にはその時間がとてつもなく長い時間のように思えてならない。
 挙句、エレベーターの中で流れるインフォメーションの音声に対し、

『本日は星稜スカイタワーにお越しいただきありがとうございます……』
「いやいや、ご丁寧にどうも」

 ……とか何とか。やっぱり機械の音声に律儀に受け答えしては、ここでも周囲の人から失笑を買っている。

 きっと周りの人は、「あの男の子、イケメンなのに残念ね」とか何とか思っているに違いない。
 しかも事あるごとにキラは奏に話しかけるので、「きっとあの子が彼女で、彼女も残念な子なのかもしれない」みたいな目で見られているに違いない。
 心なしか、満員のエレベーターだというのに、奏とキラの周りには微妙な空間が空いている。
 ……

 どうか、このエレベーターの中に友達や知り合いがいませんように。奏はただひたすらそれを祈るのみだ。
 異性との初めてのお出かけが、この仕打ち……トラウマになりそうな思いを胸に、奏は思わず俯いてしまう。
 それ故、

「キラ! 早く!」
「わ、ま、待て、奏!」

 ……エレベーターが第一展望室についたと同時に、奏は周りの人を押しのけてエレベーターを降りた。
 そして、「第二展望室はこちら」と書かれた看板の方向へと駆けだす。

「奏、どうした。もしや宝玉に関係した何かが……!?」
「違うわよ! とにかく、とりあえず一番上の展望室に行きましょう。そうじゃないとあたしの身体が持たない」
「?」

 ぽかん、としているキラの手を掴み、奏はとにかく先へと進む。
 奏は、奏と一緒に先に進みながらも、暢気に外を眺めては一人楽しそうなキラを横目に大きなため息をついたのだった。

 

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