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ファンタジー

DISCORD BRAKERS [ 6 ]

   2015年11月18日  

もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

───イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 

「ねえ、ちょっと確認したいんだけど。私達がそうだったように、『もう一人の自分』に出会えると、なんかこう、目には見えないロックみたいなものが外れて、次元が違った先でもそちら側の人と話せたり、言葉が理解出来たりするってことだよね?」
「そういうことだ」
「キラはあたしと出会ったから良いとして……もし他の人が『もう一人の自分』と出会うとすれば、何か方法はあるわけ?」
「良い質問だな、奏。そもそも、次元は違えども元々は一人。なので、目には見えない『糸』のようなものが次元を超えた二人の間には繋がっていると考えてくれ」
「糸……」
「だから、もしもどちらかの世界に向かって、その世界で『もう一人の自分』を探そうとするならば、その見えない糸を手繰り寄せればよいのだ」
「見えないのに? どうやって?」
「奏達の世界のものは魔法を使うことはないようだが、通常は魔法を使って手繰り寄せる。そういう魔法を得意とする者もいる。だが、そういう魔法を使えない場合は……探すしかない」

「探すって……こ、この広い世界で!?」
 奏達の世界では、少なくても六つの大陸に土地は別れ、人口だって七十億人以上と言われていうというのに。
 その中から探すって……それはなんか突拍子もない確率なのでは? 奏が思わずぎょっとした表情をすると、

「そもそも、糸が届くのはそう広い範囲ではない。異次元でたどり着いた場所は、糸が届く範囲と考えると……まあ苦労はするが、運が良ければ早く出会えるということだ」
「じゃあ、キラは運がよかったの?」
「まあな。宝玉が消えた場所と奏が居る街が同じで本当に良かった。もしも違っていたら、奏を見つけた後に、その街に移動しなければならなかったからな」

 日頃の行いが良いと、こういう時にツイテいるのだ。キラはそんなことを良いながら、笑った。そして、

「まあ、そういうことなので、だな……次元が違う世界なのに、その世界の言葉がわかる者がいるということは、その者は『もう一人の自分』に既に出会っている、ということになるのだ」

 と、纏めた。

 ……見えない糸、と、それを引き寄せる力。それに運。
 その理論からすると、奏とキラと出会った確率は、もしかして物凄い……天文学的数字の確率なのかもしれない。今更ながら奏は、そんなことを思う。

 でも、これでまた一つ分かった。
 キラがどうして奏を見つけたか。そしてどうして奏以外の人とも言葉が通じるようになったのかも、判った。

 奏は少しずつ情報を整理しながら、知識を蓄積させていく。
 でも、これで全てが分かったわけではない。奏は引き続いてキラに尋ねた。
 

「あとは……そうね、キラはこれから、どうやって例の六つの宝玉を見つけようとしているの?」
 

 そう。奏にとっては、これもちゃんと聞いておかなくてはいけない事だ。

 これまでも何度もキラには伝えているが、本当にごく一般家庭である藤崎家、いや奏自身にも、「強大な財力」も「強力なツテ」も、そして「頼りになるメカニックの幼馴染」も、「驚く位の秀才」も「絶世の美女の友人」もいないのだ。
 だから、良く言う、漫画や小説のような「恵まれた状況」が手に届く所にあるわけではない。奏は、言っていて再び自分が惨めな気持ちになるも、キラにそれを伝える。するとキラは、

「猫の姿をしていた間、宝玉が消えた塔のあたりを調べて回ったのだ。そこで、アロン様から言われた通りにこれを……所持して歩いていたところ、一カ所だけ反応を示した場所があったのだ」

 奏に三日月型の石を見せながらそう言った。それは、紺碧の深い色合いをした、小ぶりなものだった。

「わー……随分と面白い形をした石ね」

 何かの鉱石だろうか?
 紺碧の色合いもさることながら、三日月型、というのが何とも味わいがある。
 まるで、星の無い夜空をその形に切り出してきたような……不思議な存在だ。奏がそんなことを思っていると、

「これは、私がこちらへ来る際にアロン様に渡されたものだ。これを使えば、アロン様と次元を越えて通信をすることも出来る」
「トランシーバーみたいなもの?」
「とらん……? それはよくわからぬが、ただ、私も最初はそれだけの用途でこれを渡されたと思っていたが……こちらに来てアロン様と早速通信した際に、実はそれだけではないことが判明した」
 キラはそう言って、三日月型の石を徐にベッドの上へコロン、と転がした。

 すると。

 

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