幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ファンタジー

DISCORD BRAKERS [ 1 ]

   2015年10月22日  

もう一人の自分は「イケメン騎士」で「魔法剣士」で「ハチミツ愛好家」!?

──イケメン騎士とその仲間たちと共に、音律魔法で「調律」された世界から飛び出した、三つの宝玉を回収せよ!
 

割とイケメン、更に最強。でも救いようのないハチミツ愛好家…な能天気なキラのペースに引きずられつつ、異次元世界「ルーン王国」から流星となって表れた三つの宝玉を探すため、藤崎奏は「もう一人の自分」こと、キラ=ウォルダーと共に宝玉回収に動き出す。

 


 

 戦火の影響を辛うじて受けていない自国の城の地下通路を走り抜けた先には、無機質だが空気が清く張りつめられた部屋が存在していた。
 その部屋には、中央に等身大程の大きな鏡があるだけで他には何もない。
 だがその「鏡」は、他の調度品が例えそこにあったとしても、それを感じさせない様な存在感を醸し出している。

 鏡は眩いほどの宝石で装飾され、そして妖しくも部屋を照らし出すように光を放っていた。そしてその表面は、一見すると何の変哲のなくも見えるのだが、良く見るとその表面……水面のように揺れている。間違いなく、姿見や化粧小道具に用いるものとは別の、特殊な代物である。
 

「これは一体……」
 まるで、命を持っているかの如し。しかも、城の地下に人知れず設置されているとはどのような意図が?

 ……見慣れぬその存在に、突如この部屋に連れてこられた青年騎士は、戸惑いを隠せないでいた。

 それはそうだ。青年騎士は、この無機質だが不思議な空気を持つ部屋に連れてこられるほんの数十分前まで、他国との戦の第一線にいたのである。
 若いが剣の腕は立ち、愛国心も人一倍。そして何より皆の信頼も厚い。そんな青年騎士故に、自国を守るための戦場でその力を存分に発揮していたのだが、自国の勝利へ戦局が動くか動かないか……その重要かつ重大なタイミングで、何故かそこから城へと呼び戻された。そして、訳も分からずこうして、この場所へと連れてこられたのである。

「これは、『テロンの鏡』。この鏡存在は、国王陛下および姫君と、私を含めこの国でも一部の者しか知らぬ」
 ……そんな青年騎士に対し、彼をここまで導いてきた壮年の騎士が言った。

 青年騎士をこの場へ導いたのは、ルーン王国近衛騎士団長である、アロン=ウェルフィールド。国王陛下および時期国王となる姫君をこの戦火の中忠実に護衛し、そして戦局に出ている各騎士団への司令塔としても活躍している存在でもある。
 当然の如く本来なら、一介の若き騎士と、重要な戦の最中にこのような場所で、このような話をしている様な存在ではないはずなのだが……。
 そして何よりも、貴重な戦力である二人がこのような場所で話をしていることで、万が一戦局に動きがあったら……そう思うと青年騎士は気が気でない。青年騎士がそんなことを思っていると、アロンが再び口を開いた。
 

「良く聞くのだ。この鏡に触れれば、お前は異次元の空間へと降り立つ」
「い、異次元……? アロン様、あの、一体何の……」
「詳しいことは、お前が向こうに着いたのを確認してから、説明する。これを持っていくのだ」
 

 アロンはそう言って、青年騎士の手に一粒の石を握らせた。
 紺碧の光を帯びたその石は、三日月の形をしていた。手に丁度収まるほどの、小ぶりな石である。一見、色は綺麗ではあるものの、ただの石にしか見えない。いや、それ以外に何物でもない。
 一体これでどうやって連絡をとれというのか? とりあえず石を振ってみたり揺らしてみたものの、特になにも変化はない。

 

-ファンタジー
-, , ,