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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season15-10

   

 野村の目的が多部殺害と推理する御影。それは菊川を事情聴取したときにいっていた。

 多部を恨んでいると。すでに追い込まれている野村は多部に助けてもらえなくなっていることに、復讐心だけで暴走にいたっている。

 もはや達成するまで止まらない。

 そして野村が謝罪会見をした意味とは、だがそれには裏があることを御影は指摘した。

 ほんとうは何かを隠そうとするためにあんなみっともない謝罪会見をしたのではないか。

 それがいったいなにか、探偵たちはとにかく急ぐことにした。多部家へ。

 その頃、多部家に侵入している野村。家族はリビングでくつろいでいる。

 そっとネズミのように徘徊する野村は、キッチンで凶器を手にした。

 あとはそれをみせつけ一家に恐怖を与えるだけだった。ただ殺すだけではない。野村は多部の心意を確かめたく言葉を交わす。

 それは野村のプライドをも砕く無惨な結果だった。

 

 運転する黒羽警部は緊張していた。「まさか、ほんとうにそれが目的か」

「はい」御影はいった。

 川上も火守も同感だった。

「菊川の話を思いだしてみてください」御影はいった。

「菊川のですか?」黒羽警部は、呻りながらいった。

 そして、菊川の話を思いだす。

「そうか、野村は多部議員に裏切られたと思い込んでいるんだ。なら絶望の淵にたたずむ野村はあとがないなら…」黒羽警部はいった。

「復讐する可能性は十分にある。そういうタイプの稚拙な面が野村にはある。だからあの謝罪会見が生まれた…」火守が助手席から説明した。

「なら、行先は…」黒羽はいった。

「そう、野村の行先は、多部家だろう」川上がいった。「しかも嫁をもらいにいったのかもしれない」

「そうだった、婚約したのようなことをいっていた。菊川はそういった」黒羽警部は口をあんぐりと開けながらいった。「復讐といってもなにをするんですかね?」

「あとがないってことは、やはり一家惨殺なんてことも…」御影はつぶやいた。

 黒羽警部はそれには同意しかねた。「野村はそれでも、恩人であり、婚約者がいる、ほぼ家族ぐるみの付き合いなのではないかな、野村は多部に裏切られたとしても、腹いせに最後は制裁するつもりだというのか」

「そうでしょうね、そう考えると合点がいく。なぜ、自宅にずっと引きこもっていなかったのか。もっともいずれ令状を翳した刑事たちがのりこんでいただろうけどな」川上がいった。

「咲下刑事がつぶやいていたときのことですけど…」御影はいった。

「彼女がなにか?」黒羽刑事は眉間にしわがよった。

「野村が謝罪会見をした意味ですよ。もっとも政務活動費の隠ぺいをしたことの謝罪だとだれでもわかっている。そう画面からも映っている」

「あたりまえだろう」警部はいった。

「だが、ほんとうはなにかを隠したくてあの謝罪会見をしたとしたら?」御影はいった。

 探偵たちは納得するように頷いていた。

 黒羽だけは上の空だった。

「警部、とりあえず進行方向は多部家へ。いま住所などを調べますので…」火守はいった。

「いや、しっている。そこまで遠くはない。西宮市のはずれだ」

「さすが、地元人。頼りになる」川上が冷やかした。

「いそぎましょう。野村はすでに多部家に襲撃しているかもしれない」御影はいった。

「襲撃?」黒羽は困惑した。

「そうですよ。やつは多部に復讐するなら、なにをしでかすかわからない。感情が爆発したら逆上して一家惨殺するかも…」火守はいった。

 黒羽は蒼白な顔になった。「そりゃ、たいへんだ。西宮市のイメージが総崩れだ」

 こんなときにイメージダウンを心配とは、黒羽もやはり権力に支配される側にいる人間だったか。

 

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