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エリカの花言葉 第3話ニチニチソウ《若い友情》 3

   2016年10月19日  

 エリカの花言葉 第3話 ニチニチソウ《若い友情》
 夏休みに入り洋平と恵里香が弘行の家を訪れた。そこで悪漢の父と出会うと、二人は弘行のことを不憫に思う。
 その家庭環境を目の当たりにした洋平は、小学生の時に児童養護施設へ送られた級友のことを思い出し、弘行も同じようになるのではないかと思い始めた。

 

 それから暫くして夏休みもお盆の時期に入った頃、恵里香が夏の思い出にもう一度花火をしたいと言い出したことから、夕方の河川敷に三人は集まった。
 空に打ち上がる打ち上げ花火を見ながら、三人はキャッキャとはしゃいでいる。
「そうだ、ヒロに聞こうと思ってたんだ」洋平が問い掛ける。
「何だ?」
「家に行った時から気になっていたんだけど、煙草なんか吸っているのか?」
「別に、ムシャクシャしていて、偶々吸っただけだよ」
 ばつが悪いことを聞かれた弘行は、洋平と目を合わせようとせずに、川の向こうに立つ建物にぼんやりと光る灯りを、じっと見ている。
「ムシャクシャする時があるのは分かるけど、悪いことはしちゃダメだよ」
 恵里香の言うことは尤もなことであり、弘行はぐうの音も出ない。
「でも、僕はムシャクシャすると、何をするのかなぁ……」洋平が話すと、恵里香は「私は大声出すかな、こういう所に来て『ワーッ』って」と言い、川の向こう岸に向かって大声を上げた。
「俺もムシャクシャしていたから、あの時プールでも行って泳げばスカッとするかと思ってたんだ。小学校の頃はスイミングスクールで選手コースにいたんだぜ」弘行は過去の栄光を得意気に話し出す。
「プールって、北海道だろ?寒くて泳げるのか」
「おまえはアホか?一年中雪が振っているわけないだろ、それにスイミングスクールは室内だよ」
 漫才のような二人のやり取りを見て、恵里香は可笑しくなり大声で笑った。
「でも泳げるのはいいな。僕も得意だったけど、心臓が悪くなってからは全然泳いでないから」 
 そのことをすっかりと忘れていた弘行は、何だか自分が気まずい話をしていたように思えて、言葉を失ってしまう。
「ねぇ、これから学校に行こうよ」恵里香は名案でも思い付いたように言い出すが、二人はその言葉が目的とする意味が分からずに、疑問符が頭の中を漂う。
「こんな夜に学校行って、何するんだよ」
「今は先生達もお盆休みだから、きっと学校に誰もいないよ。なんか楽しそうじゃん、夜の学校って。きっとムシャクシャしたことなんか忘れちゃうよ」
「ムシャクシャしたからって、悪いことするなって言っていたのは誰だっけ?」まるで言行不一致な恵里香に、弘行は皮肉を交えて話す。
「悪いことかもしれないけど、煙草とは違うよ。何て言うか……冒険みたいだし」
 恵里香の言うことは頓珍漢にも聞こえたが、二人は反対をするわけでもなく、手に持つ線香花火が散り菊となり小さな火の玉が消え落ちると、自転車に乗って学校へ向かった。

 

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