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ラブストーリー

恋する僕ら-約束のしかた<5>

   

二つの恋物語が折り重なる、恋する僕らの第五話をお送りします。
一般作でありながら、今回のみ官能シーンあり。
ご了承下さい。

***抜粋***

 約束をした。

 僕らは言葉のない、約束をした。

******

 

 約束をした。

 僕らは言葉のない、約束をした。

○○○

「ふわぁ、あふ」
 真っ白いベッドの上。
 小さめのセーラー服が肌に擦れて、しゅるりと音を立てる。
 本来であれば胸上に結ばれているべきリボンは諸事情により今はなく、少し無防備な胸元に、覗くうなじは少し汗ばんでいた。
 肩甲骨あたりまで伸びた長い黒髪は、雛人形みたいで可愛らしかった。僕が去年の誕生日にプレゼントした、深海色の碧いカチューシャは理沙のお気に入りトップスリーにランクインしていて、けれど今は僕の手の中にあった。細い左手首には小さな桜模様の腕時計が巻かれ、右耳にカチューシャとお揃いの小さなサファイア星ピアスが飾られている。健気な肩に細い手足は子供っぽくて、制服の胸ポケにはぎゅうと押し潰されたお手製のミニもも人形が覗いていた。
 そんな白と青で構成された理沙が、僕をじっと見つめていた。
 静か過ぎるくらいな保健室。
 文化祭の出し物から少し離れたこの場所に、人はあまりやっては来ない。
 そんな中で、僕はただ彼女を見つめていた。
「どうしたの?」
「ん、ぅ。何でもない、のな」
 返答のテンポが少しずれているのは、理沙が眠いからだろうか。

 僕らはつまりそんな仲。
 いちいち聞かずとも相手の事が解る程度の、そんな仲。

 ぎし。
 パイプベッドに薄手のカーテン、やたらと真新しいシーツが白かった。
 どこを見ても眩しいこの場所に僕が居慣れているのは、軽い貧血持ちの理沙によく付き添うせいだろうか。
 そんな理沙は間違いなく保健室の常連で、だけど今日の保健室訪問は、ちょっとだけ予想外の訪問だった。
「お腹、もう全然苦しくないのな」
「それはよかったね。僕は制服がぐちゃぐちゃになったけど」
 僕は大きめの体操服の袖をたくしあげながら、やたらとすっきりした顔の理沙に失笑を漏らす。
「ごめんなさい、な」
「もういいってば」
 僕を待ち続ける羽目になった理沙は、去り際に言った「焼きそばを食べきる頃には帰る」という言葉を信じ、焼きそばを完食した。
 そこまではよかった。
 ただ許容量オーバーとなった理沙の胃は悲鳴をあげ、苦しみもがいた彼女は揚句、胃の中のものを全て吐き戻してしまう結果となった。

 

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