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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season15-12

   

 野村が議員の裏でどんな暮らしをしていたか、御影の推理によって暴かれてしまった。

 政務活動費の不正受給の浮いた金を別荘購入に充てていた。そこにまさか恋人の真宮を住まわせ、いや都合のいい監禁状態で管理させていたとは思いもよらなかった。

 証拠も出揃いはじめ、野村は言い逃れができないところまで追い込まれていた。

 真宮が不動産屋に訪れるところも、警察は防犯カメラで解析し、ふたりの銀行口座からも、金額を照合させ、これらが証拠として提示できると、御影はいった。

 別荘に住まわせた数か月後に大きな問題が野村の前に立ちはだかった。

 その問題にさせたのは多部だった。

 野村と多部の娘との縁談。野村にとっては苦渋の判断が要された。権力の下に位置できる。野村は欲しくなった。

 そして野村が騒ぎを起こす発端になったともいえる。

 多部は自分のせいで、こんな騒動になったのか、と苦悩しはじめていた。

 御影はそんな多部の心意を抉るようなことをいった。多部もまた義理の息子になるとしたら野村。これを自分の身代わりにする意図が潜んでいた。

 家族から軽蔑される多部。

 野村は多部の娘と結婚できるならと、さらなる大博打に出た。一世一代の大騙しをテレビの前で演じたのだ、と御影は指摘する。

 そしていま謝罪会見をした理由が明かされる。

 

「野村、おまえ!」多部は悔しそうに歯ぎしりしていた。おそらく娘と二股にかけていたことが露呈したからだろう。

「着工と竣工にいたっても女性は立ち会っていた。その別荘は不動産屋の担当はひとりで暮らすと聞かされていたと、だからいっさい野村は関与していない」御影はいった。

「どういうことだね、それは…」多部は立ち上がった。もう妻の安否は確保されたからだ。

「いったでしょ、野村はなにかあったさいに逃げ込む隠れ家を手に入れておきたかった。今回みたいなことになったときのためにね」川上は笑っていた。

「そう、そして刑事さんたちに頼んで、あなたと女性の銀行口座を調べさせた」御影はいった。

「こ、こうざ?」野村はあきらかに動揺した。

「これは証拠になっちゃうことだよ」川上は揶揄した。

「ふたりの口座は不可解な記録があった。野村の口座から大金が引き出され、同額の金額が真宮の口座に預けられていた」黒羽警部がいった。

「そうです。真宮名義の別荘だが、購入したローンの支払いは野村だった。金は直接、真宮さんに手渡ししていたな。同額の金額が彼女の口座に預けられ、さらにその金額を不動産会社に振り込んだ」

「これは確実な証拠だなぁ、振り込み記録がないと思っていても、ふたりを繋げる証拠にはなっちゃうね」川上は笑っていた。

 黒羽警部がいった。「不動産会社は真宮が来店して契約していったのを覚えていると証言。ひとりであんな山奥の森林のせいで目立たない場所に住みつこうというのに不審さを抱いたが、自然に囲まれて静かに暮らしたいと真宮は理由を話していた。不動産屋の担当は彼女の職業を見て納得したという」
 
 

 不動産屋でのやりとりは防犯カメラの録画映像が残っていた。管理会社が保管していたのだ。

 警察はそれを解析した。

 不動産屋の担当の男性と来店した真宮が対面している。

「キャバ嬢ですか」担当の男性はいった。

「なに、問題でも?」真宮は厚い化粧で男性をにらんだ。

「いえ、預金もしっかりとしているようですので、問題ございません。別荘に移住されるのでしょ? 仕事はどうされるのですか?」

「問題ないわ。馴染みのあるお客が支援してくれるの。ここでの生活が慣れてきたら、温泉地にいってアルバイトもするつもり」

 支援者は野村のことだろう。

「そういうことであればこちらも精いっぱい尽力いたします。ぜひ、ご契約を」

「もちろん、よろしく頼むわ」真宮の真っ赤な唇が微笑んだ。

 そんな伏兵を手中に収めていたとは多部はしりもしなかった。

 

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