幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~カーネット王国編 第20話 ルイスの意思

   

ついにあの日起きたことを話し合うことに。そこでルイスが口にした言葉に、レイシーは初めて、兄を疑ったのだった。そして、己の心を知った。

『言わなくては。伝えなくては。そうしなければ、“私まで、変わってしまう“』

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~』
【毎週 月曜日・金曜日に更新】

それは、来たるべき時の為に。

 

 
「皆、久しぶりだね。最後に会ったのは、えーと……二年前かな」

 “二年前”、だと。

「に、兄様……今、何と?」

 一瞬だけ、ルイスの言葉を疑った。だって、二年前だなんて……そんな。

「レイシー、後で全て話すよ」
「…………」

 私はその言葉に頷くことも、言葉を返すこともせずに、正面を向いた。
 ――――本当に、全てを話してくれるだろうか。

「僕の呼びかけに答え、こうして集まってくれて感謝している」

 ルイスはいつものように優しい声でそう言った。

「知っての通り、僕達兄妹は“おとしいれられ、城を追われ今日に至る。理不尽でしかないこの状況に怒りしかない。そして、僕は……この暗殺の首謀者を決して許しはしないだろう」

 強い口調と怒りを含んだ声。
 あの日の情景が蘇る。
 敵を目にした時のルイスのあの瞳は、今でも忘れられないほどの怒りに満ちていた。

「妹が傷つけられた。僕の王女……いや、僕の『神』がこれほどの重傷を負わされた」
「……?」

 か、み――――? 私がルイスの?
 臣下と見られる彼等も、怒りを露わにして、ルイスの言葉を聞いている。

「僕はこの事件に関わった人間を全て、この手で
「!」

 初めて聞いた、ルイスの考え。そして、意思。私は目を見開くことしか出来ず、言葉をなくした。
 まさか、ルイスの口からそのような言葉が出るとは思わなかった。当然と言えば当然なのかもしれない。祖父を殺され、慕っていた従者を殺され、大切な人達を失った。それは私だけではなく、ルイスも同じ。

 ――――だが、それでも。それでも私は、ルイスの口から、『殺す』だなんて言葉は聞きたくなどなかったのだ。

「来たる時は、すぐそこまで迫っている。皆、“あの日の憎しみを覚えているな”?」
「もちろんでございます、王子!」
「忘れたことなどございません…」
「王子!」
「お守り致します、私達が!!」

 まただ。また、私の知らない話。
 ずっと、傍にいたと思っていた。ルイスのことは私が一番よく知っていると、そう思ってもいた。だが、それは私の勘違いだったのかもしれない。

「一緒に、戦ってくれるか?」

 ルイスのその言葉に、臣下達は獣のような咆哮で答えた。私はその光景を見て、ただただ不安で、ルイスが心配でならなかった。

***

「レイシー、驚かせてしまったかな」
「ええ、とても。あの人達も兄様の臣下…なのでしょう」
「そうだよ」

 オールとプラインはまだ戻ってきていない。情報収集に手間取っているのだろうか。

 先程の大勢の臣下達は、もう部屋の外から消えていた。ルイスの命令で下がっている。ここからは私とルイス、そしてルドウで話をするらしい。

「まず、状況を整理しよう」
 

 

-SF・ファンタジー・ホラー
-, , , ,