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アストラジルド~亡国を継ぐ者~カーネット王国編 第21話 暗殺の首謀者

   

レイシーが感じていた違和感。そしてそれを埋め尽くすようなルイスの言葉。彼は、この事件の首謀者の名を口にした。それは、レイシーの予想もしていないような人物だった。

『もう、私のせいだなんて言うものか。最初に抱いた思いを、忘れない』

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~』
【毎週 月曜日・金曜日に更新】

それは、来たるべき時の為に。

 

 

***

「プランジットには通信設備がほとんどない。王都が今どんな状況に晒されているのか、そして城がどうなったのか、ここからでは何もわからない」
「王都まで行けば、何かしら手がかりを見つけることが出来るでしょうが、まだ危険です王子」

 ルドウは言った。その言葉に私も頷く。

 あの日から三日以上が経過しているにも関わらず、私とルイスの遺体は見つかっていない。今頃、私達が生存していることが敵側に知られているだろう。未だバールとリュストの人間がこの国に滞在しているかはわからないけれど、城に近づくことは避けた方がいい。

 今私達が出来ることは、状況整理だけなのだ。
 それ以上のことは、まだ出来ない。

 私はそう思っているけれど、ルイスの目は前を見据えている。その瞳の放つ力を抑えることも、消すことも私には出来ない。だから、私とルイスはきっと――――この先、必ず意見が食い違うだろう。

「城がどうなったのかもわからないだなんて…情けないな、僕は」
「兄様……」

 彼はまだ、カーネット王国の王子としての心を忘れてはいない。そうわかって安心したのと同時に私は、悲しくもなった。
 他でもないカーネットの王国兵に刃を向けられたにも関わらず、彼はまだ、この国を愛しているのだろうか。私は――――そうは思えない。どうしたって無理だ。

「ルイス。あなたは、どうお考えですか? これから、どうするの? 私達はどうなるの?」
「…………」

 彼は、私のその掠れた声に、真っ直ぐこう返した。

「お前を傷つけた全てを、。そして、城へ戻って、奪われたものを取り戻すよ」

 ああ、やはり。
 彼は、全部。
 私の為に、動いているのか。

「……兄様」

 ――――そういえば。

「……ねえ、兄様」
「どうしたんだい?」
「私ね、ずっと疑問に思っていたことがあるの」

 あの日、まず初めに爆破されたのは城の庭。そこにいた私はたまたま、爆風に巻き込まれてしまったが、もしもあのまま自室で眠っていたならば、間違いなく二度目の爆発によって命を絶たれていただろう。
 ――――そう。“ルイスの部屋が爆破されず、私の部屋だけが爆破された”。それは何とも、おかしな話だ。

「ウィリーは亡くなる直前に、私にこう言ったの。『王位継承権を持っている者』を暗殺することが敵の目的だと。最早、戦争だとも言っていたわ。けれど、本当にそうならば、何故ルイスの部屋には爆弾がしかけられていなかったのかな」

 私のその言葉に、ルイスとルドウが目を見開いた。私も、疑問には思っていたけれど、口に出すのは初めてだ。
 本当にそれが目的ならば、私達二人を殺めなければ意味がない。私だけを殺しても、目的は達成されないのだから。

 その考えが頭を過った瞬間、ルイスの唇が震えた。
 

 

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