幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~カーネット王国編 第22話 取り戻す為には

   

『本当に、私達の運命を取り戻したいのなら、人を殺すべきじゃない』

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~』
【毎週 月曜日・金曜日に更新】

それは、来たるべき時の為に。

 

 
「そうだね。“今のカーネット王国”では、叔父様は王にはなれないだろう」
「どういう意味…?」
「カーネットの在り方をそっくりそのまま作り変えてしまえば、叔父様の望みは叶うかもしれない…と言うことさ」

 カーネットの在り方を変える――――。それは、歴史を変えると言うことだ。

「どうして、そこまでして叔父様は、国王の座を求めるの?」
「何故だろうね」
「兄様ッ」
「わからないんだ。本当に」
「…っ」
「…僕は、今まで一度だって、王位を欲したことはないから」

 どくん、と心臓が音を立てた。
 ルイスが、王位を望んではいない。私だって、彼のその思いは今まで幾度となく感じてきた。彼の望む姿と、私の望む彼の姿。この二つは、決して重ならないと気づいていたから。けれど、心のどこかで私は、ルイス自ら王になることを本気で望んでほしいと願っていた。
 兄こそ、王にふさわしいと。昔からずっと、変わらずそう思っていた。けれど、ルイスはそれを望んではいない。だからこそ、王位を欲する者の考えや気持ちがわからないのだろう。

「私はあなたに王になってほしいと、本気でそう思っていた。あの日の出来事が起こるまでは…」

 そう。あの事件が起きなければ、私は今でもルイスに、王位についてほしいと心から望んでいただろう。この国の王になって、民に慕われ、そして太陽の下で生きていてほしいと。そこに私はいなくても構わない。彼が笑顔でいられるのなら、それでいい。
 ――――だが、今は。

「こんな話をしている場合ではないのかもしれないけれど、私はね、今は…“あなたに王になってほしいとは思えない”」

 ルイスが国王になった時、またこんな争いが起きたらと思うと、胸が張り裂けそうになる。そんないくさに身を置くことになってしまったら、彼はもう、私の愛しているルイスではなくなってしまう。
 全て、私の仮説でしかない。そうなるとは限らないし、これから王になる未来がひらけていくのかも私にはわからない。けれど、これだけは言える。

 ルイスは王位を欲してはいないけれど、奪われたものを取り戻す為なら、簡単にその座につくだろう。そして、叔父様を殺す為なら、己の手を汚すこともいとわない。

 彼の瞳から滲み出ていた『憎しみ』は、きっとそういうものだ。

「…どうして、そう思うんだい?」
「…私は、あの日ほど王族に生まれたことを後悔したことはないよ。たとえそれが、『母様』を否定することだとしても、それでも私は…」
 

 

-SF・ファンタジー・ホラー
-, , , ,

家元 第十部 危機を越えて

   2017/09/22

ノーベットノーペイ

   2017/09/22

見習い探偵と呼ばないで!【番外編・御影解宗のデート】3

   2017/09/22

ロボット育児日記26

   2017/09/21

怪盗プラチナ仮面 11

   2017/09/20