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ミニスカサンタでご出勤 後編

   

クリスマスイヴ当日、果たして問題児の子にプレゼントを届けるのか
そしてココもまた、今回の件でいろいろ成長をした

 

 
 相談室と書かれた札のある扉を開くと、マスブチユウタ君の担任と副担任、そして彼の住む地区の子供会役員をしている人の三人がワタシたちを待っていた。
 子供会の役員は、勤めを終えたご年配の方が担当することが多く、今まで生きてきた証のシワがはっきりと顔に出る、そんな年代の男性だった。
 ちなみに、担任は男性で副担任は女性。
「お待たせしてすみません。改めてお話の方を詳しく聞かせてください」
 リン調査員が丁寧な口調で主導権を取った。
「マスブチユウタ君のことですね?」
 確認をするように聞き返したのは担任の先生で、ワタシたちが頷くと、副担任が手にしていたファイルを開く。
「副担任のわたしから説明させて頂きます。マスブチユウタ君の素行ですが、正直、よくありません。わたしは今年からですが、去年副担任をされていた先生にも話を聞いたのですが、去年の途中から明らかに素行が変わったと仰っていました。その時も随分と対応に追われて大変だったと。それでいつもならクラス替えをしない今年は、したそうです」
「つまり、彼と仲のいい子をなるべく同じクラスにして、仲のよくない子と離したということですね?」
 メモを取りながらリン調査員がクラス替えの真意を確かめる。
「はい、仰る通りです。それで少しでも何かが変わればと思ったのですが、それが裏目に出たようで」
「そうですか。きっかけとなることに本当に心当たりがないのでしょうか?」
 リン調査員が座っている三人の顔を交互に見ると、子供会役員の人が、言い難そうにワタシたちのことを見た。
「教えてください。このままでは彼へのクリスマスプレゼントは見送られてしまいます。それでは余計に孤立したり荒れたりするのではないでしょうか?」
 黙って聞いていたワタシもついに口を開く。
「そうですね。クリスマスプレゼントは子供たちが楽しみにしているイベントのひとつです。特にサンタクロースからの贈り物は人気がありますからね。ただ、先に申しておきますが、おそらく、我々で解決するのは難しいかと思います」
 ──と言って、一旦口を閉ざしてから、重い口を開いた。
「彼は一人っ子でしてね。仲のいい友達の中にも一人っ子の子はいるのですが、その……」
 言い難い、どういえばいいのかがわからない、そんなところかな。
 一定の歳になると、友達に妹や弟が出来ることは珍しくないし、話題がそればかりになることも確かにある。
 だから希望があれになるの?
 そんな単純な話でもないように思うワタシは慎重に、相手が話してくれるのを待つことにした。

 

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