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ミステリー・SF・ホラー

聖夜に祈りを 中編

   

まりあがユーリと最初に会ったのは、両親を同時に亡くした時だった。
大人の事情でまりあを厄介者として見る刑事に対し、真っ向から立ち向かってくれたのが、彼だった。
ユーリとの出会いを思いだし、彼の大切さを改めて感じるまりあ…

 

 

◆◇◆◇◆

 まりあが小学生になる数日前のこと──
 まりあの生まれた未来では、六年間の義務教育課程を終えると、それから先の学業は個人の自由となっていた。
 人口が減り、働き手が足りなくなったことも、義務教育期間が減った大きな理由になっていた。
 そのため、今まで九年間あった義務教育課程を六年間で詰め込まなくてはならず、かなり厳しい学生生活を強いられることになる。
 それが嫌で、十三という歳で就職を希望する子も少なくなく、一時は衰退した職人系の仕事には弟子入りする子も増え、跡継ぎが見つからず職人が姿を消すという時代を回復しつつあった。
 そんな未来では、荒れた土地、死にかけている地球の改善に力を注いでいて、研究に励む人の育成にもかなりの投資をしていた。
 まりあの両親も、そんな研究に荷担する人のひとりで、研究者であった。
 両親が力を入れていたのは、自然の木々の復活、自然に木々が育つ土地の回復だった。
 昔の映像をまりあに見せては、「いつかまりあにも見せてあげる」と口癖のように言っていたもので、まりあが今の仕事に就いたのも、亡き親の遺志を継いだと言ってもいい。
 まりあが小学校に入ると同時に、両親も研究施設に生活の拠点を移すことを決め、実家にひとり残ることになる娘に、世話が出来、話し相手にもなり、まりあにとって兄のような存在になれるシステムを組み込んだアンドロイドを贈ることにした。
 それがユーリ。
 ユーリがまりあと共に生活をしていく過程で、兄のようになるのか、使用人で終わるのか、もっと親しい間柄に発展するのかは、まりあとの信頼関係からなる絆によってかわる。
 人間の赤ん坊が人と触れ合って人格が出来るように、アンドロイドにもそれに似たものが組み込まれている。

 

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