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コドモが寝た後で××× 第6章 味な食べ頃、ほろ酔い酒 2

   

少しずつ語られる夏川さん自身のこと
だからって、不意打ちのアレはない…!

 

 

◇◆◇◆◇

 2日目。
 夏川さんの仕事が終わっておらず、オレは子供たち連れて外へ出る。
 昼食は外で食べてくるけど、どうする?
 そんな質問にも答えてもらえなかった。
「こんな時のパパは放っておいて大丈夫よ、薫風さん」
 娘がそう言うのならと、少し後ろ髪引かれる思いで、出発したのが、昼ちょっと前。
 オレが雛菊ちゃんの手を繋ぎ、海老蔵がもう片方の彼女の手を握る。
 横に並んで歩く光景を見て、またオレは思う。
 オレたち、傍からみたらどう見えるのだろう。
 そんな疑問をちょっと投げかけてみた。
 子供の意見は正直だから――

「パパとその弟と、パパの子供……」
 雛菊ちゃんはそう答えた。
 それって、父親の兄弟であるオレが家族の旅行に乱入ってことか?
「だってね、薫風さん。薫風さんって若いもん。私ね、若いパパって憧れるけど、パパって言うよりは、お兄ちゃん?」
 ――お兄ちゃん……
 なんていい響き。
 感涙してしまいそうになる。
 なんだろう、妹萌えって感覚が妙に納得できてしまった瞬間だった。
 しかし、子供は正直でよく周りを見ている。
 オレがパパというよりお兄ちゃんに見えるって、それは海老蔵にとっても同じなのだろう。
 だけど兄とは呼べない何かがある。
 実際、兄でもないし父親でもない。
 もしかしたら、パパと呼ぶことで、ここに居てもいいという安心感に繋がっているのだろうか。
 だとしたら、オレの何が足りない?
 オレは海老蔵を預かると決心した日から、邪魔だとか面倒とか、思ったことはない。
 海老蔵はどう思う?
 そう聞こうとして彼を見ると、ただ真っ直ぐ前を見ていた。
 なんとなく、話に入りたくないという意思を見せつけられたような気がして、話題を変えたのだった。
 

 

-恋愛