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コドモが寝た後で××× 第5章 雨音は… 2

   

子供を預かるという重大さを思い知る事件が起きる

 

 

◇◆◇◆◇

 いつもより一本遅いバスで登校したオレ。
 いつものことを把握して待っていたとすれば、校門で軽く1時間は待っていた計算になる。
 約束したわけじゃない、根津が勝手に待っていただけだ。
 事前に連絡も入れずに。
 文句言われたら、オレは正論で返してやる――と、意気込んだものの、根津は待たされていたことへの愚痴を一切言わず、いつもと変わらない態度で話かけてきた。
「そろそろ夏休みだな。海老蔵と約束したことってあるか?」
「別にこれといって……ない」
「そうか、それは良かった。実はさ、去年行ってもらったところ、旅館は変わるけど、子連れ歓迎って言ってくれたところがあってさ、どう?」
 子連れ歓迎って、前もってオレに勧める気でいたことがバレバレだ。
「実を言うとさ、またあそこから是非って話があったんだけど、急に代わり見つかったからってお払い箱。おまえ、なにやった?」
「あそこって、夏川さんところ?」
「そう、そこ。ゴールデンウィーク、直で臨時バイトしたって言うじゃないか。そこまで信頼されてンのに、なんだって急に」
「さあね。雇い主の気まぐれじゃないか?」
「気まぐれって……名指しで春日以外って条件だったんだけどさ、なかなか条件に合うヤツいなくて、春日じゃダメかって打診したら、代わり見つかりました――だぜ? そんなに拒むような失態、春日がするはずないし。だろ?」
「だから、気まぐれだろ。海水浴場の方、前向きに考えてみるよ。海老蔵と話し合う時間くらい、くれるだろ?」
「そりゃあ、もちろん。盆明けくらいまでなんだ。頼む」
 わかったと手で合図し、オレはそのまま図書室へと向かう。
 久しぶりの晴天。
 このまま梅雨明けになればいい――
 オレは心地いい風の中、静かに夢の中に入っていった。

 

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