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ミステリー・SF・ホラー

呼んでいる

   

 
――と、そこまで思い出話が進むと、電話の向こう側で電話が鳴り出す。
ごく普通の呼び出し音。
若い女の子がスマホの着信音に設定することの方が少ない、その音が電話の向こうから聞こえてくる。
だとすれば、鳴っているのはあの時あの場所にあったあの『赤い公衆電話』しかない。

「ねぇ、友美。もしかして、今鳴っている電話の音って……」
『そうよ、あの時も鳴ったあの電話がまた鳴っているの。ねぇ、伊勢さん。あの時、鳴った電話に出たわよね。何を聞いたの?』
「何を……って――」
私は咄嗟に出かかった言葉を飲み込む。
あの時、唯香にも同じ事を聞かれている。
『何か聞こえた?』 ではなく、『何を聞いたの?』 と。
聞き方に何かひっかかるものを感じた私は咄嗟にこう答えた記憶がある。
『何も聞こえなかったよ』 と。

だから友美に聞かれてもこう答えるに決まっている。
「何も聞こえなかったけど?」
出来るだけ落ち着いてそう口にした。
だけど、電話口から聞こえてくる友美はクスッと笑う。
遠慮がちにはにかむように笑う友美がクスッと笑うはずがない。
次第に笑い声は低く不気味さを増していく。
「友美? ねぇ、友美、どうしたの? 大丈夫?」
私の問いかけに友美は不気味な笑いを繰り返す。
その笑いがおさまると、地の底から響くような低い声が電話口から聞こえてくる。

 

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