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LOVE & WAR

   

うたた寝しているとどこからともなく物音が聞こえてくる。
今夜、両親は不在、妹は塾、家には俺以外いないはず――という事は?
泥棒かそれともこの世のものでもないモノなのか……物音が聞こえる場所に行くと、そこにいたのは――

 

 2月中旬、旅行好きの両親が月1回の連泊旅行に出かけた。
 俺にはふたつ下の妹がいて、ちょうど大学受験真っ只中の今年の冬、家にいるよりは塾に模試にと忙しく、両親がいない日は俺にとって天下のような生活だった。
 ちょうどこの日も、夕刻に家に着きどうせ夜中にならないと帰ってこない妹を待つよりは自分の時間として有意義に過ごそうと、居間の液晶テレビで借りてきたDVD鑑賞に浸っていた。
 1本見終わって2本目に入って暫くすると、少しずつ訪れた睡魔に負けた俺はいつしか眠ってしまったらしい。
 真っ暗な家、灯りは唯一テレビの明かり。
 誰もいない家中のはずなのに、物音がして俺は息を飲み込んだ。
 そりゃもう、口から心臓が飛び出してきそうなくらいビビった。
 言っとくが、男って結構度胸がなかったりもする……

 音はどうやら隣の台所から聞こえてくる。
 ここでひとつ言っておくが、妹は料理と名のつくものは一切出来ない。
 そんな妹が自ら台所に立つとは考えられず、またこの寒い季節にネズミが忍び込んでいるとも思えない。
 俺は最悪のことを考え、物音を立てず身体を起こし、飲み水用として傍に置いておいた2リットルのペットボトルを手に、忍び足で台所へと向かう。
 ちなみに服装は、上下スウェットに素足という定番すぎるくらい定番の部屋着姿だ。
 居間は床暖房で素足でも問題なかったけど、廊下のフローリングは氷の上を歩いているみたいに冷たい。
 冷たい上を歩くという躊躇も加わり、意外と物音立てずに歩くという行為は難しく、フローリングの上を一歩踏み込む度に軋む音が……が、それ以上に台所から出ている音の方がしっかりしているのか、それとも犯人の方が夢中になり過ぎて気づかないだけか、まあ俺にしては好都合な状況が続いてくれた。

 

-恋愛