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異世界ファンタジー

水面の国 1

   

水面の国(みなものくに)

水面に映るもうひとつの国で少女と青年は宿命に立ち向かう
 

水面(みなも)に映るもうひとつの国がある
少女は幼い時、水面に映った景色を見て思った
その国に行ってみたくて手を伸ばし、一度溺れかけている
その時助けてくれた「彼」との再会が近づいていたのは、高校生になった時だった

雅と、雅を慕う少女、そして雅を守る青年の三人が揃った時、異界の扉が開かれる…

 

序章【はじまり 】

 
 
 
 昔、小さい頃――

 今自分のいる世界と同じ、水面に映し出される情景に、水の中にもここと同じ世界が存在するとまじめに思っていた頃があった。

 子供心に、でももしかしたらという事も考えていたりして、実際に確かめてみたのは、思い始めてから随分後になってからの事だった。

 少し背も伸びて、少し体力もついて、そこそこ泳ぎも出来るようになった頃、水面に映る世界への好奇心は絶えることなく、思い切って中を覗いてみた。

 でも、覗いた中には水面に映る世界は存在しないし、体制崩して溺れかけるし……

 その後、親にこっぴどく怒られた事を、今でもよく覚えている。

 それを期に、水面に映る世界への好奇心は、胸の奥深くに閉じ込めて、鍵をかけた。

 それから十年あまりたった今、こうやって思い出した事には、ある人との出会いがあったからだ。

 対馬環(つしまたまき)――

 親に勧められて始めた弓道の手解き先で出会った、同年代の女の子。

 某有名な女子高に通うお嬢様なのに、飾らなくて、穏やかな雰囲気があって、多分最初にそれらの事を知ってしまっていたとしても、意気投合していたと思う。

 それくらい直ぐに慣れ親しむことが出来た、中々そういう人とは出会えない、運命だと、恥ずかしげも無く直感でそう思った。

 その彼女の話は、端から見れば少し変わっている、そんな感じに受け取られる部類かもしれないが、他人事のようには思えなかった。

 もうひとりの自分を見つけたような、そんな感覚だった。
 

 

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