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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season16-4

   

 潜入した御影たちは、建物の奥へと入っていくほど気もちがざわつく。

 御影はこの建物がどういうものかたずねた。怪しまれないように徐々に会話を重ねて、この五大信者のふたりから特別な情報を得るために。

 そして浅野という人物に全幅の信頼を寄せている。それだけは真実であって、嘘偽りがない。脳内を支配されていてもかまわないと、そんな顔でいるのが気色がわるくて御影は唖然となるばかりだった。

 金粉の風神雷神の襖が描かれているところで立ち止まる。

 そこは教祖や信者にとって大事な場所。神聖なる場所といっている。

 それを御影は聴いてうんざりしていた。宗教というバカバカしい連中と関わるのはこれっきりだ。

 襖が開くと、そこは十字架に祈祷している教祖。そして数十名の信者が崇拝している。

 この異様な雰囲気を見て、御影は世も末だ。おぞましき光景を目の当たりにした。

 そして夜のことだ。御影は孤独になった。水桐たちと険悪になり、孤立して真夜中の散歩へと赴いた。

 そこで御影が感じたこととは…。

 

 氷室たちは民宿で二部屋借りた。一部屋は雲田の機材をセッティングしてパソコンで監視、音声の録音、通信機の交信ができるようにしている。もう一部屋は仮眠部屋としている。

 火守、川上、雲田、森谷、氷室。

「考えてみると、おれたち、なんかむさ苦しいな」機材で密集している部屋に男たちも密集している光景を見ながら川上がいった。

「御影のほうが両手に花だ。大地さんと水桐だけどな」火守は斉藤のことを思い浮かべていた。手には携帯電話を持っていた。メールを手早く打っていた。

「こらこら、ふたりとも」森谷がめずらしく叱咤する。「きみらは仕事であることを忘れては困るのだよ」

「すみません」

 氷室だけは窓をのぞいていた。

「どうしたました?」火守がたずねた。

「いや、雲行きがあやしいと思って、御影くんたちは無事に潜入して、預言のトリックを暴いてもらいたいものだ」

 川上は思った。「氷室さんの顔は知れ渡っているとはいえ、もっと正面突破の方法があるんじゃないか。警察と結託して、そうすれば御影たちをあぶない目に遭わせずにすむのではないかな」

「そうなのだよ。それができればわたしたちがこんなところでむさ苦しい思いをしなくてすむのだよ」森谷も感じていたようだ。花がひつようだと。

「どういう意味?」川上はいった。

「要するに」雲田が割って入った。「警察から依頼はきたが調査の仕方が平行線をたどったわけだ。きっと警察の指示にしたがえってな」

 氷室はそんなことをするのは我慢ならない。もともと警察出身で辞めて探偵業を開業した身。

 また警察の下で動くということはかつての上司にこきつかわれるということになる。

 もっともいまなら政木警部ですむからそれはそれでめんどうではある。

「たしかに、そういう煩わしい上下関係があるから、おれたちは“ならず者”で探偵をしている」川上はいった。

「そうだな、個人主義者の集まりだ」火守がいつのまにか森谷と雲田と川上の輪に加わっていた。

「そうだ、ここは御影くんたちにがんばってもらおう。あとで労わってあげればよい」氷室も最後にしめくくるように主旨をまとめた。

 

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