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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season16-5

   

 警視庁捜査一課の政木警部は疲労困憊で遠方を見るかのような眼でストレスが爆発寸前だった。

 黒川刑事も疲労困憊のはずが、若さのためか意外とハツラツと動いているのがムカついていた。

 評論家の預言翌日の死亡。信者のだれかが殺害したのではないか、もしくは教祖が、と予測を警察は立てて信者の事情聴取をとった。

 それが全員白だった。このアドバイスをしたのが氷室だった。かならずだれかしろボロをだす。

 だから事情聴取は必須だった。が、その目論見がはずれたのだ。手ごわい浅野会の行き渡った信者への信仰。

 まさに強敵。
 

 雲田探偵はずっとパソコンで情報収集に分析をかさねて解析していた。

 ほかにも様々なことをしているが、ひとりでこれをすべてやっている。御影たちのフォローもだ。

 さすが鉄の心。アイアンマークは伊達ではない。

 そんなとき、御影たちに動きがあった。と雲田は全員につたえる。

 通信機の調子がおかしいのだ。電波ジャック。遮断するなにかが御影たちとの交信を阻んでいた。

 雲田ですらこの状況に反省した。トランシーバー機能を搭載していれば電波に影響されずにすむ。
 

 御影はひとり単独行動を夜の中、影となって歩を進める。そこで御影が見た者は、あるひとつの答えだった。

 だが、それを目の当たりにしたのを最後に、御影は姿を消したのだ。

 

 警視庁捜査一課警部、政木 藍子(まさき あいこ35歳)はブラックコーヒーを飲みながら疲労困憊で、ゴミ箱が満杯になっていることにイラついていた。

「政木警部!」警視庁の廊下が響くほど声を張って呼びかけたのは、黒川 公平(くろかわ こうへい 26歳)刑事だ。

「うるさい!」政木警部はにらみつけてその未熟な刑事を一喝した。

「す、すみません」か弱いハムスターのように縮こまってしまった黒川刑事は体を硬直させた。

 数秒の沈黙が流れたが、それに耐えきれずに政木はさらに怒鳴りつけた。「なんだ!」

「はっ、はい…」黒川は話をはじめた。もう数週間動きっぱなしで疲れ切っているのは政木だけではない。黒川もまた同じだった。が、若さで乗り越えているようだ。

「信者の事情聴取の証言の裏がとれました。やはり全員が白です」

「ちっ…」政木警部は浅野会の教祖、もしくは信者のだれかが預言といった教祖の浅野の言葉をに踊らされて、もっと平たくいえば挑発されて行動した。勝手に信じこんで自分がやらなければならないと思ってひとを殺害した狂信者がいる。

 これはすでに氷室が助言していた。

「彼のアドバイスで調べてみても白なんてね。信じられないわ」政木警部は氷室が的をはずしたことに驚愕していた。

 教祖は氷室よりも高みにいるということだからだ。

 伯田 春道(はくた はるみち 29歳)警部補が現れ、自動販売機で缶コーヒーを買うためにコインを入れていた。「氷室名探偵はまちがってはいないと思ってますよ。探偵社は独自の調査をしているようです。今ごろアジトに潜入しているようです」

「そうか、彼は自分の推理を信じている。なら警察が依頼した以上、わたしたちがあきらめるわけにはいかないわね」政木警部は立ちあがった。

「どちらへ?」黒川が立ち去る警部の背中に呼びかけた。

「トイレ、顔洗って気合い入れるのよ。くる?」不敵な笑みを浮かべ、未熟な者をあざ笑うようにいった。

「いえ、けっこうです」黒川はまだハムスターのままだった。

 

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