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エリカの花言葉 第5話 トリカブト《復讐》 1

   

「あ……」裕太と亮治の表情が変わると、洋平は背後を振り返る。すると、歩いているのが女優の片山美奈子であるのは洋平もすぐに分かった。
「テメェ! この野郎!」やって来る美奈子に亮治が食い掛かると、洋平は慌てて止めに入る。
「おい、どうしたんだよ! 落ち着け、落ち着けって!」
 慌てめく洋平の姿とは裏腹に、美奈子の様子は『そんなことを言われなくても、私は落ち着いているわよ』と言わんばかりに、微動だにせず立ち止まっていた。
 荒れている三人の様子を見て『クスッ』と笑った美奈子の表情が、更に亮治の癇に障る。
「おまえ、あの写真、週刊誌に売っただろ!」
「売った? 売るなんてダサいことしないわよ。差し上げたの」
 亮治の気を逆撫でるような話し方をする美奈子を見ると、本来ならば整った顔立ちの美女が、洋平には魔女の面立ちに見える。
「エリカは? 学校にいるの?」
 美奈子は自分の要件を淡々と話しながら、目の前にいる三人よりも、その後ろ側に目を向けてキョロキョロとしている。
「エリカなら帰ったよ」亮治を宥めることに精一杯の洋平は、とりあえずこの女が何処かに行ってくれないかなぁと思いながら話すと、美奈子は、「えっ、帰ったって、一人で?」と、何やら不味いことでも聞いたようにしている。
「いゃ、友達と帰ったけど」
「友達って? 男、女?」
 先程までは、無表情、無感情のようだった美奈子の慌て具合が妙であり、彼女が恵里香を探す理由も不鮮明にさせる。
「杉浦を探してどうする気なのさ」
 裕太が問い掛けると美奈子は溜息を吐いて、呆れたように首を振っているが、三人は美奈子にそんな態度をとられる覚えもない。
 まるで年下の男を子供扱いしているような美奈子の態度は、三人を酷く不快な気持ちにさせた。

 

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