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童話

ゆうきのゆうきのゆき

   

レイモンド・ブリッグズの『スノーマン』へのオマージュです。

 

 
 雄樹君は運動が苦手です。
 とくにきらいなのが水泳です。
 3年前の夏、海水浴へ行っておぼれそうになったのです。
 海水をガブガブ飲んでしまい、鼻はツンツンして、もう死ぬかと思ったのです。
 スキーも好きではありません。
 パパがスキーで足の骨を折ったことがあります。
 病院へ行くまで、とても痛そうな顔をしていました。
 骨が折れたらすっごく痛いんだ、とわかったのです。
 スキーをやって、もし骨を折ったらどうしよう……。
 
 雄樹君の一家は、冬になると北国にいるおじいさんの家に遊びに行きます。
 パパは、骨折したことも忘れて、ママと二人でスキーをやります。
「雄樹、お前も来ないか」とパパがいいます。
「ううん、僕、いいよ」
「じゃぁ、おじいさんと遊んでおいで。パパとママはスキーをしてくるからね」
 
 雄樹君は、おじいさんと一緒に雪ダルマを作りました。
 雪をころがして、雪の玉を作りました。
 おじいさんが手伝ってくれたので、雄樹君の背の高さよりも大きい雪の玉ができました。
 もう一つ、小さな玉を作りました。
 大きな玉の上に小さな玉をのせて、赤いリンゴを付けて両目にしました。
 短い丸太を付けて口にしました。
 そして、胴の両側に小枝を刺せば、それが腕になります。
 これで雪ダルマが完成しました。
 リンゴの目玉のリンゴ雪ダルマです。

 雪ダルマを作っただけで、もう、疲れました。
 夜の食事のときに、コックリコックリしてしまいました。
 パパがいいました。
「雄樹、ねむいのか?」
「うん……」
「じゃぁ、二階に行って、先にねなさい」
「そうするよ。おやすみなさい」
 雄樹君が二階への階段を登っていると、パパとママの会話が聞こえました。
「雄樹にも困ったもんだ。もう少し、運動すればいいのに」
「まだ小さいんですから、無理させない方がいいわ」
「そうかなぁ」

 

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