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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

見習い探偵と呼ばないで! Season16-7

   

 台場の生放送番組がはじまった。タレントなどが浅野会と対立するように話をはじめていった。

 コメンテーターのタレントは思いのほか詰問が鋭く、生放送ということで預言をして他者を殺害するなんてことはできないと高をくくっていたタレント側だった。

 教祖の殺害ができないと最初から揶揄するような口調で迫っているのだ。

 もはやこの教祖はインチキなパフォーマンスグループだ、と嘲笑っているかのようにだ。

 しかし、教祖はそんな揶揄する相手に、たとえ生放送だろうと神の声を聴いて預言をすることはどこでもでき、そして公言する。

 罵ることは神を罵倒することにひとしいことのように教祖はにらみ返している。

 緊迫するスタジオ内で、ついに一触即発の事態が起こる。

 教祖がついに預言をはじめた。呪い殺すかのような場面を全国ネットで放送なんてできない。プロデューサーはすぐにCMへ切り替えた。

 テレビの都合なんておかまいなしの教祖はついに預言を告げた。

 全員死亡を預言した。が、罵り疑うコメンテーターが言い放った。

 すると唐突にそのコメンテーターのタレントは苦しみだし神を敬う姿勢で、倒れた。

 そこからこのとんでもない大惨事が加速する。

 

「あなたたちはいったいどういう活動をしているんですか?」おそるおそるたずねるコメンテーターのひとり。本業は芸人だった。

 静かに答える浅野会の教祖、浅野。「愚問を…、わたしたちは神の声を傾聴し、そして弱きおまえら人間に救いの声をそのまま聴かせるために、わたしは存在している。背後にいるのは五大信者の四名とさらに期待の信者が集まっている」

 教祖の背後にいるのは百瀬、油原、桐谷、浜戸が囲んでいる。目だけが出ている尖った被り物をして信者たちはおそろいの白い司祭服をまとっている。

 その中に、水桐と大地もいた。テレビ画面から氷室たちは推測しながら見つめていたが、たまにアップになる信者の目と体型で見抜いたのだ。

「神の声とは」ほかの司会者があいだに入った。「預言ということですか?」

「そのとおりだ」教祖は瞼を閉じながらいった。

「預言はいつもどこでどうやって?」芸能人が割って入った。勇敢であるが、有能ではない。一歩まちがえば預言といわれ手をくださずに殺害される候補のひとりになる。

「毎晩月夜のそらのした、わたしは祈りを捧げると神はしっかりと語りかけてくれる。このさきの未来をな」教祖はいった。

「それであなたは…、その預言をどうやっておこなったのですか?」

 これにはだれも答えなかった。どうしようもないバカな質問だったからだ。

「質問を変えますね。預言とは先刻あなたたちを批判した評論家がいましたが、あのひとのおっしゃっていたことは図星なのですか?」コメンテーターがずばり指摘した。

 緊迫した状況がスタジオを席巻した。

 恐怖と死という渦が取り巻くようにスタジオにその空気が流れていた。

 教祖はいやらしく白い歯を下品にも浮かべながら微笑んだ。「YES」

 衝撃が走った。それは殺害を認め、全国ネットの生放送で自白したのと同じだった。

「あなたは自白したんですよ」タレントの司会者が指摘した。

「そうか、なら預言しよう」教祖は勝気にいった。「おまえたちがこのさきあとどのくらい生きれるかどうかをな」

 コメンテーターたちは怯んだ。

「毎晩捧げるといったが、その場所にいかないと効力はないのでは?」コメンテーターが反発した。それは教祖が嘘つきであると遠まわしにいっている。

「ほう、そういうことをいいますか…、ならよかろう、わたしはここで祈りを捧げ、神の声を聞くとしよう」そして瞼を閉じて深い眠りについたように頭が下がった。

 つぎに教祖が起きたとき、そのコメンテーターに預言がつたえられることになる。

 コメンテーターは指摘したがために、生命の危機に立たされた。目を見開くのは当人だけではなく周囲の人間は騒然として止めようとする。

「待て待て待て待て待て待て…」

 五大信者の四名が教祖の前に立ちふさがった。

 番組スタッフも止めようとする。一時騒然となり、ディレクターがCMに行くよう声が響いていた。

「はやく、CMに行け!」

 そのときだった、浅野教祖は瞼をゆっくりと開いていく。「汝、神の声を聴いた」

 立ち上がり、五大信者の壁をすり抜けて壇上中央に躍り出た。

 まずい、このまま教祖が預言を言葉にしたらそれは現実になってしまう。反発したコメンテーターが亡くなる、もしくはディレクター、さらには敵対する出演者が全滅するかもしれない。スタッフだっている。

 この狭いスタジオ内の人間は信者以外が死亡する凄惨な映像が放送されるだろう。

「預言を言おう。神のお言葉は絶対なり。コメンテーターのみなさん、残念だ。あなたたち全員、死を宣告せねばならない。ほんとうに残念だ」浅野は唇を噛みしめながら同情するような顔で哀れみるが、どこか信じない者は救われない、といって情け容赦ない恨みを晴らせることでスッキリしたような目を輝かせている。

「だ、だれが、その殺害をするんだ? 後ろの信者たちか?」コメンテーターがなおも罵声を浴びさせる。

 そのときだった。コメンテーターは断末魔の雄たけびを上げたまま天を見上げ両手を広げていた。まるで神に見下されることの許しを乞うように、そしてすがるように膝から崩れた。

 叫び声に蓋を閉じ咆哮は失せた瞬間、コメンテーターは電池が切れたようにうつ伏せで倒れた。

 瞳はいったい最後になにを見ただろうか。目は開いたまま、口も開いて肉体のすべての機能が停止した。

「死んでるぞ」騒然となったスタジオ。生放送で手をくださずに、一瞬にして殺害におよんだこのパフォーマンスはお昼の時間帯に震撼させた。

 公開処刑、教祖を罵ることで神の使徒である浅野は神に報告した。そして神の声を傾聴し、神が手をくだし殺害に至る。

 これは以前の評論家とおなじことが起きたように連想された。

 

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