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SF・ファンタジー・ホラー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~カーネット王国編 第30話 別れと誓う想い

   

陰謀と悪意、そして信じたものの為、幼き王女は立ち上がる。
王女と王子の運命を駆ける王国ファンタジー。

「私が兄様のことを幸せにしてみせるよ」

『アストラジルド~亡国を継ぐ者~』
【毎週 月曜日・金曜日に更新】

それは、来たるべき時の為に。

 

 
「きっと、僕の存在がお前を苦しめているんだろう。それでも、僕はあの日誓ったんだ」

 私を強く抱き締めて、縋りつくように、彼はそう呟いた。消え入るようなその声が、私の耳の奥でずっと木霊する。

「――――誓ったんだよ」
「…兄様」

 私達は、あまりにも死を見過ぎた。死を招き過ぎてしまった。私とルイスは、普通ではない。だからと言って、受け入れられる現実とは思えなかった。だから、今でも私は――――わからないのだ。

 死した人々の帰りを待つ者達。彼等が愛してやまない家族から、大切な存在を奪ったのは、かつて私達の城を守っていた兵士達。そして、この事件の引き金となったのは、私とルイス。その事実だけは変えようがなく、一生絡みついて離れない呪い。

 助けてと願っても、救われず。救いたいと願っても、戦うことすら出来ず、今私はここにいる。どれだけ繰り返せば気が済むのだろう。この連鎖を止める方法はないのだろうか。叔父様は、何故そこまでして私の命を奪おうとするのだろう。
 関係のない者の命を奪うこと。それが、王族のすることとは思えなかった。

「…兄様が私に誓ってくれるのなら、私も今ここで誓うわ」
「え…?」
「無残に命を奪われたプランジットの誇り高き臣下達の前で、あなたに誓う」

 このまま逃げれば、私はもう二度とこの町に足を踏み入れることはないだろう。だから、今誓わなければならない。たった一人の家族に、これからも生き続けてもらう為に。プランジットで“私のことを待っていてくれていた者達の為に”。

「王国兵を動かしている者が、本当に叔父様なのだとしたら…その時は――――“私がアース・カーネットを退しりぞける”」
「どうして、お前が…」
「そうすれば、兄様はもう…誰のことも傷つけずに済むでしょう?」

 本当は誰も、ルイスに戦いを望んでなんていないのだ。だが、ルイスは戦うことをやめはしないだろう。私達の日常を壊した者達を根絶やしにするまで、ルイスの決心は変わらない。ならば、彼が戦う理由をなくしてしまえばよいだけのこと。そうすれば、彼が剣を取ることはなくなる。

「私が兄様のことを幸せにしてみせるよ」

 何のしがらみもない日常の中で、何者にも傷つけられず、生きてほしい。私がそうしてみせる。私がルイスの剣になる。
 

 

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