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エリカの花言葉 第5話 トリカブト《復讐》 3

   

 片山美奈子が殺害される事件が起きた。洋平と弘行は、犯人を少年院から出所した恵里香の兄だと思い恵里香を守ろうとするが、兄は福岡で働いている為に片山美奈子の殺人事件とは無関係だと知らされる。
 しかし、その答には疑問が払拭されない二人は、恵里香の兄が犯人であることを突き詰めようとしていた。

 

 放課後、弘行と洋平は帰宅しながら腑に落ちない気持ちとなっていた。
 片山美奈子は、何故、誰に殺されたのだろう……恵里香の兄がSNSに書き込んだ文の意味は何だったのだろう。
 考えれば『紫陽花の涙』は引き取られた従兄が京子の家族を殺す物語であるから、その形式に則り犯行をしているとすれば、美奈子は関係の無い人物であるはず。
 しかし、『アジサイノハナ ツヅキノハジマリ』と書かれた文を思い出せば、あのドラマでは、父、母、姉の三人が殺されるから、現実には姉のいない恵里香の家族であれば、美奈子を姉役として殺したようにもこじつけられる。
 だが、その兄は福岡にいるとなれば、他の犯人など二人に思い付くわけがない。美奈子を知っている洋平にとっては、彼女の死が謎に包まれているのがやるせない気持ちになる。
 菅村には止めろと言われながらも、学校へ来ていない恵里香を心配する気持ちは変わらずに、二人は再び恵里香の家にやってきた。
 菅村に注意をされたからなのか、商売になるようなネタではないと思ったからなのか、白金の姿も今は見当たらない。
 玄関のインターホンを押すと、中に人がいるような物音は聞こえないが、ドアの奥に人の気配を弘行は感じ取る。
 耳を立てれば、中からは木製の床がゆっくりと踏まれる音が聞こえると、静かに開いたドアの隙間から恵里香の顔が見えた。
「ヒロくん、ヨウちゃん……」
 よほどの恐怖を独りで抱えているのを、腫れた瞼が語っている。二人は土間まで入り込みドアを閉めると、恵里香は気が抜けたのか、膝の力が抜けたようにして上り框に腰を掛けた。
「ちゃんと寝ている?」洋平が声を掛けると、恵里香は首を揺らしながら、「大丈夫」と話す。
「なぁ、聞いたか?兄ちゃんは福岡にいるらしいぞ」
「うん、朝、お母さんが保護司の人に電話して聞いていた。でも……」
「どうした?」
「誰が片山さんを殺したんだろう……」
 弘行は恵里香を安心させる為に伝えたが、それを聞いて疑問に思うのは自分達と同じである。

 

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