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ダストドール第2話VS軽沢

   

世は再びプロレスブーム。

龍日本プロレスの新人レスラー軽沢は、仲間の少ない凡内の付人を担当している。彼は訳あってデビュー戦が遅れていた。

 

悪の軍団ジャイロの勢いは日に日に増していた。奇襲攻撃、反則攻撃により、何人もの正規軍レスラーが病院送りとなっていた。
この日は、正規軍レスラーのトップ、大ベテラン芦田と、ジャイロの総帥である富山の試合が行われる。
いつも芦田の付人をしているレスラーが病院送りにされていた為、凡内と軽沢が今回の付人を任された。

芦田の入場曲が会場に鳴り響き、カラフルなライトと煙と共に芦田が観客の前に姿を現す。芦田がゆっくりとリングに向かおうとした時、観客に紛れていたジャイロのレスラー二人が芦田に襲いかかった。

「あーっと、ジャイロの奇襲攻撃だ!これはいけません!」

その光景がスクリーンに映し出される。すると、奇襲攻撃を防ぐ為に付人をしていた凡内は、観客から丁寧にお辞儀をしてパイプ椅子を借りると、敵であるジャイロのレスラーにパイプ椅子を差し出し、攻撃を受ける芦田を指差していた。

「ほら、やっちまえやっちまえ」

凡内にそう言われたジャイロの一人は、ぽかんと拍子抜けた顔をしていた。

「あーもう、これでこうするんだろっ!」

なんと、凡内はパイプ椅子で芦田の背中を思いきり叩いた。そして、軽沢にも指示をすると、軽沢も芦田にストンピング攻撃を見せた。

「凡内どうした!何をやっているんだ!これは裏切りなのか!?」

実況は叫び、観客はどよめいた。しばらくすると、一つ前の試合を終えていた正規軍のレスラーが慌てて控え室を飛び出してきて、救出に入った。
ようやくリングに上がった芦田であったが、すでに疲労の色は濃く、富山の反則殺法の前に沈んだ。

試合が終わると凡内と軽沢がリングに上がり、再び芦田に襲いかかった。そして、凡内がマイクを掴む。

「おい芦田。軽沢君のデビュー戦はどうした?どう責任とるんだ?」

凡内がマイクパフォーマンスでそう言うと、芦田は固まった。その固まった表情を凡内は見逃さない。

「タッグマッチだ。お前とお前のお気に入りの新人外国人をぶっ潰さないと、軽沢君の怒りは収まらない。俺もそれを手伝わしてもらう」

凡内のコメントが理解できない観客も多く存在していたこともあり、解説者が説明を始めた。
一ヶ月ほど前、龍日本プロレスの新人デビュー戦が行われた。毎年三人の新人を相手に、芦田が十分一本勝負を三回連続で行う。それは新人にとっての洗礼であり、龍日本プロレスの名物企画の一つでもあった。
今年も軽沢を含めた三人の新人と戦うことが決まっていたが、その試合の直前にカードが組み替えられたのだ。
世界的に有名なマスクマン、ゴールドアメリカンの息子、ゴールドアメリカンジュニアが龍日本プロレスに入団することが決まった。そこで芦田は軽沢に一切の報告もせず、カードを入れ替えていた。今年は三連戦を、異例の四連戦にするという案も出ていたが、偶然打撲していた軽沢を除外していたのだ。
その事実を知った凡内は、デビューすらしていない新人を踏み台にしてでも自分の名前を守った芦田に怒りを覚えていた。
そんな凡内に、軽沢が近寄ったのだ。軽沢の怒りの表情を見た凡内は嬉しくなって、

「ありがとう。俺から誘いたいくらいだったけど、人の道のデザインはできないからね。俺と組めば、最高のデビュー戦を約束するよ」

と、言い、それから二人は行動を共にするようになった。

「やってやるよ。お前みたいなどうしようもない奴をぶっ潰すのは俺の責任だ」

芦田はそう言い返し、凡内の挑発にのった。芦田のコメントに観客は大いに沸いた。

 

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