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ダストドール第1話VS凡内

   

世は再びプロレスブーム。

チェンジギミックで二つの顔を持つ凡内は、人気レスラーの一人。彼は自分というレスラーを自由にデザインする。

 

いろんなことが充実する。こうなればいいなと想像していたことに、現実が追いつこうと勝手に加速していくイメージで、結果よりも前に僕がいる。

順調には慣れがなく、思わず立ち止まりそうになるけど、僕の中にいる出会い別れた人達が、その足を運んでいく。

せっかく出会って、そして、せっかく別れたんだから、きっと立ち止まることはもうない。僕はもう、あなた達と出会った僕なんだから……。
 

「今度は激しい打撃の嵐が凡内を襲う!耐えきれるのでしょうか!」

リアルプロレスを語り、相手を倒すことだけに集中する吉田の本気の格闘家スタイルには定評があった。

「凡内ここでうまく隙をついてバックドロップ!危険な角度から落ちていったー!」

世は再びプロレスブーム。ゴールデンタイム、皆が見守る中で吉田の反撃を耐え凌ぎ、バックドロップを決めたのは凡内。彼は変わったギミックの持ち主で、人気レスラーの一人だ。

「何が本気の格闘家スタイルだ。全然遅いし、全然効かないね」

凡内はそう言って起き上がると、倒れ込んだ吉田をリング外に蹴り落とし、セコンドについていた付人の軽沢からマスクとオープンフィンガーグローブを受け取る。そして、素早くトップロープに上り詰め、右手人差し指を高くかざして叫んだ。

「ダストドール!」

凡内は一瞬にしてマスクとグローブを装着し、ダストドールに変身した。彼はチェンジギミックのレスラーなのだ。

「頑張れダストドール!」

「ダストドール!ダストドール!」

包帯デザインのマスクとグローブ、そしてパンツとシューズ。ミイラ男をイメージさせるダストドールは一見奇妙ではあるが、変身という言葉がついてきたせいか、子供達の人気はかなり高いものであった。

ダストドールは吉田に打撃殺法で襲いかかった。凡内の組手を基本としたレスリングスタイルとは全く異なり、組手を一切取ろうとはせず、オープンフィンガーグローブを装着したことでパンチを得意とし、さらには激しい蹴り技。ダストドールは総合格闘技を意識したスタイルのレスラーであった。

「客寄せマスクの餌になりたくなかったら、本気で来いよ」

凄まじい切れ味を見せるダストドールの打撃に、吉田は全く対応できずに身を守りながら後退する。

「そろそろ決めてやる!乳酸菌ドライバー!」

総合格闘技を意識したスタイルながらも、彼は必ず最後は投げ技にこだわっていた。乳酸菌ドライバーとは、ダストドールのオリジナル技で、ブレーンバスターの要領で相手を抱え上げ、そのまま全体重をかけて相手を頭からマットに叩きつける恐ろしい技だ。

「ワンッ!ツーッ…スリーッ!」

吉田はスリーカウントを奪われ、完全に動かなくなった。なぜ彼が豪快な投げ技にこだわるのか。それは彼がプロレスラーだからだ。

 

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