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恋愛・ラブコメ

ひねくれ俺たちの青春シャウト 10

   

 超絶ハイパー美人の戸川美空は、怒りの感情を露わにする。
 恋の予感なんて全くしないその再会は、一体何を暗示しているのだろうか――

 

 声をかけてきたのは例の戸川美空だった。その整った、整い過ぎた顔が至近距離にある。それだけで俺の心臓はいつもの五倍速で鼓動していた。しかし、そんな様子を露見させるわけにもいかず、必死に平静を装う。
「お、おい。なんだよ急に」
「…………」
 戸川美空は俺の言葉を無視して、腕を掴んだまま俺をどこかへと連れて行こうとしている。
 何がどうなってるんだ。俺なんか変なことしたか? 授業中ちらちら見てただけだぞ? 危険因子だと感じたのか? 俺は果たしてそこまで変態チックな見た目をしているのか? もしくは逆ナンか? おっとそれなら大歓迎だ。
 人気のない階段まできたところで、戸川美空は俺のほうに向き直る。
「昨日店に来てたよね君」
「ああ、それがどうかしたのか?」
 戸川美空は一呼吸置いて、俺の目を見据える。なんだその威圧的な目は。俺は別に悪いことをした覚えはないぞ。
「昨日のこと、他のゼミ生には言わないで」
「昨日のこと?」
「とぼけないで。昨日、あたしのバイト先であんたらがクレーム出したこと」
 よくわからんが、戸川美空は少々怒っているようだった。それは霧間先輩に対する怒りだろうか。いや、怒りとは少し違うかもしれない。
……めんどくさがってるのか――こんなことをしなければならないことに。
「はぁ、別に誰にも言わねーよ。言って得することないし」
 本音だった。他人のごたごたに巻き込まれるのはごめんだ。
 

 

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