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ラブストーリー

隣人でナイト★〜お引越し〜

   

*『隣人でナイト★』の番外です。

悠太郎の部屋に引っ越す事になった杏奈。
悠太郎の休みに二人で物を移動させていたのだが、重たいタンスを移動させていた時に、杏奈が手を滑らせ、咄嗟に衝撃を抑えようと伸ばした、悠太郎の脚に落ちた。
「折れてはいない」と、引越しを続ける悠太郎を心配する杏奈。悠太郎の足を庇っている姿が痛々しくて、中断させようとしたのだが・・・。

Hシーンは御座いませんので、あしからず♪

 

 平日だというのに、やたらに騒がしいこの『マンション・リーフ』3階。その原因となっている二部屋は、今まさに二人の男女によって行われている、大仕事の真っ最中だった。
「ちょっと!!アンタちゃんと持ってるわけ!?」
「持ってるだろ。お前の背が小さいからそうなるだけだっつの。」
「じゃぁ少しくらい屈んでくれりゃいーじゃないのよっ!」
 タンスを担ぎ、それを挟んで怒鳴り合う、杏奈と悠太郎。悠太郎の背と杏奈の背の違いが、互いの持ち位置をずれさせているのだ。一応気遣いながら、位置を下げてはいる悠太郎だが、それも限界というものがある。分かってはいるのだが、文句を言わずにいられない。
「早く出て!」
「お前もついて来ないと出られねーだろ。」
「も~~~~っ!!」
 叫びながら足を一歩ずつ動かして、隣の部屋の前に移動した二人。

 それもこれも、つい最近の事だ。
 杏奈の上階に住む柴田という主婦のお陰で、部屋に一人居られなくなってしまった杏奈の為に、悠太郎が提案した同居話。杏奈もそれを承諾して、本日、悠太郎の休みを使い、隣の部屋に杏奈の物を移動していた。
 柴田にはほとほと呆れ返った二人だったが、それにしてもあの話が無ければ、二人がこうして互いを必要とする事はなかったのだ。ある意味感謝すべき所なのだろう。
「ちょっ・・・ヤバイ!!重いっ・・・」
 悠太郎の部屋の玄関を上がって直ぐ、杏奈の手がタンスの重たさに限界を迎えそうになっていた。必死に落とさないよう堪えていたのだが、手の感覚が無くなり、ハッとした時には手が外れてしまった。
「あっ!!」
「ぐっ・・・!!」
 ガクンッとタンスが揺れたが、咄嗟に悠太郎が腰を落とし片脚を伸ばし、その上に落ちたタンスは、激しい衝撃を免れた。
「ごめっ・・・!!悠太郎、大丈夫!?」
「・・・悪ぃけど・・・、限界になる前に言えよ・・・。途中休んだっていーんだからよ・・・。」
 半分瞼を落とされて、悠太郎に呆れた顔で言われた杏奈は、唇を尖らせたものの、直ぐにシュンとなってタンスに手を掛けた。
 黙ったまま持ち上げる体勢に入った杏奈を見て、悠太郎もタンスの下から脚を抜いて、もう一度持ち上げる姿勢を取った。だが、その瞬間、『やっぱりか』というような顔をした後、顔を酷く顰めた。
 息を合わせて持ち上げてから、部屋の奥に進んでいく悠太郎の脚が不自然な事に気付いた杏奈。
(・・・脚・・・もしかして・・・)
 とりあえずは黙ったままタンスを置くべき場所に置いた後、直ぐに杏奈が悠太郎の足元に膝を付いた。
「折れたり・・・してない?」
「あ?してねーし。あんだけの重さが落ちてきたんだから、打撲じゃねー?」
 ニッと笑いながら、タンスの位置を微調整した悠太郎は、次の荷物を運び込む為サッサと杏奈の部屋に戻って行った。ただ、どう見ても完全に片足を庇って歩いている。たいした事が無ければいいなと思いつつ、杏奈も自分の部屋に戻って行った。

 

-ラブストーリー


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