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ひねくれ俺たちの青春シャウト 9

   

夢見光からゼミの存在を聞かされた澤崎玖炉。
新たな出会いの予感に胸を躍らせる。

しかし、そこには思いもよらない人物の姿が――

 

「おい起きろー。起きないと痴漢するぞー」
 何度呼びかけても起きない夢見光に、俺は半ば投げやりになりながら、所々セクハラ発言を交えながら、そして優雅に朝食をとりながら起こそうとしていた。
 一向に起きる気配はない。仕方ない、痴漢するか。
 そう心に決めた俺は(実際、犯罪にならない程度の痴漢はどのようなものだろうと思考しながら)枕を抱きしめてベッドで寝ている夢見光に、こっそり近づいていった。起きろと言いつつも起きるなと願っている俺、とても犯罪的である。
 だがしかし! 欲望に理性が勝てるほど俺は真面目な人間じゃあない!
 そんな風に胸を張って、俺はゆっくりと夢見光のたわわな体に(といっても幼児体型だが)手を伸ばした――
 ――殴られた。
「あんたねえ、モテないからって無防備な美少女の体を触ろうとするなんて最低でしょ! クズ丸出し! 全裸で街のど真ん中突っ込んで過呼吸で死ね!」
「誰にも同情されなそうな死に方だな。つか起きてたのかよ」
「どんな死に方でもあんたは同情されねーよ! 起きてねーよバーカ!」
 起きてるだろ……。しかし朝から物凄い暴言の数々だ。これから遊園地にでも行くような気分だったのに萎えてしまったぜ。
「てかさ、泊めてやったのにその言い方はないだろ。別に本気で触ろうなんて思ってねーよ」
 と、自分でも解釈しておくことにした。触るつもり? そんなバカな! あるわけないっての!
「はあ? あんたは泊まってもらった側! 女の子が家に泊まるなんて奇跡二度と起こらないんだからむしろあたしに感謝しなさいよ!」
 これ、殴ってもいいかな。
 たしかに、女の子が家に泊まるなんてこと、なかなかあることとは思えない。だけどな、夢見。泊まったのはお前だ。その意味がわかるか? それに――
「泊めてやっただけじゃないぞ。昨日お前ずっと抱えて帰ったんだぜ? どうだ、紳士過ぎてびびったろ?」
 そーいえば、抱えて歩いていたときに痴漢し放題だったじゃねーか。何やってんだ俺。本当に紳士やっちゃったよ。
 そして夢見は突然黙った。なぜそこで黙る。なんだか俺が悪いことしたみたいじゃん。
「……へぇ」
 そんな二文字の言葉だけを発し、それ以降夢見の表情はしばらくうわの空だった。

 その後しばらくして、夢見光はアパートの二階に帰り、俺は自室に1人取り残された。
 日曜日はたいてい暇だ。バイトでも探そうかと思うけど、時給良し、場所良し、女の子多し、なんて都合良い職場はなかなか見つからず、ないがしろになっていた。
「何すっかなあ」
 そんなことを呟いていると、ケータイが着信で震えた。横になっていた体を起こしケータイの画面を覗きこむ。
「もしもし」
「あ、あんた生きてる? 自分の気持ち悪さに死んでない?」
 夢見光だった。さっきまで一緒にいたのになぜ電話だ?
「聞いてる?」
「ああ、生きてるよ。どうした? 二日酔いだから介護してくれなんて言われても困るぞ」
「あんたに介護なんて二度と頼まないわよ。じゃなくて、今日のゼミ説明会行くかって話」
「ゼミ説明会?」

 

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