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恋愛・ラブコメ

ひねくれ俺たちの青春シャウト 8

   

一年生にとっては、初めての叫部の正式活動『イタリアンバーで飲む』が終わり、澤崎玖炉は考える。
正しいことと、正しそうなこと、間違っていることと、間違っていそうなこと。

そして霧間ミミのクレームは一体どれに当てはまるのか。
彼女の言葉に、澤崎玖炉はさらなる泥沼にはまっていく──。

 

 帰り道、俺は夢見光を半ば抱きかかえるようにして歩いていた。口は達者でも酒には弱いんだなこいつ。
 喋らなければ可愛いのに……。
 なんて思いたくもないことを思ってしまう。酒と寒空のせいだ! と言い聞かせておいた。そういえば、女子って基本見て愛でるものって思ってたけど、こうして1人の女子を抱きかかえて歩いてるなんて、俺って実は周りから見れば──
 と、そんなときケータイの着信音が鳴り響いた。こんな時間に一体誰だよ、と思いながらもケータイの画面を覗いてみる。
「霧間先輩か……」
 なんだろう、さっき解散したばっかなのに。
 異性からの着信ってシチュエーションだけで俺的にはかなり興奮するのだが、相手が相手だ、むしろ何か悪いことをしたのかなと疑ってしまう。現実ってこんなもんだ。
 しかし無視するわけにもいかないので、恐る恐る通話ボタンを押す。
「もしもし、どうかしたんですか?」
 
「よう、まだ家着いてないか?」
「着いてないですよ。夢見が重過ぎてなかなか前に進めない状態です」
 実際その通りだった。夢見光は小柄のわりに重い。いや、女子を抱きかかえたことなんてないからこれが普通の重さなのかもしれないが、女子ってのはこう、簡単にお姫様だっこできてしまう重さなんじゃないのか? あれは幻想で、抱えてる男は実は歯を食いしばってたりするのか?
「そうか、災難だな」
 他人事だなあ。
「で、どうかしたんですか? 別にセクハラなんてしてないですよ」
「お前にセクハラなんてできる度胸はないだろう。いや、ちょっと聞きたいことがあってかけたんだ」
「彼女なら募集してますよ」
「殴られたいのか?」
 声のトーンがマジだった。会話を弾ませるための俺なりのユーモアだったのだが、そんな気遣いは霧間先輩には通用しないらしい。というよりわりと真面目な話があるようだ。
「申し訳ありませんでした。で、聞きたいことってなんです?」
「お前、今日のあたしを見てどう思った?」
 今日のことって……あのイタリアンバーでのことか。
「うーん、驚きはしましたけど、こういうこともあるんだなってある種納得はしましたよ」
 本音だった。別に、特に不快に思ったりはしていない。そりゃあ楽しい飲み会が少し残念な感じになったのは感は否めないが、それでも仕方がないときってのがある。酒の席で理性を保つのは難しいからな。
「正しいか正しくないか、でいうとどう思う」

 

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