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恋愛・ラブコメ

ひねくれ俺たちの青春シャウト 8

   

「えっと……」
 正しいか正しくないかって、そんな哲学的なこと聞かれてもなあ。でも霧間先輩はたしかそんなようなことを店員に言ってたな。要はあの発言についてどう思うかってことなんだろう。そんなことを俺に聞いてどうするんだって感じだが、答えないわけにはいかなそうだ。
「そこまで考えてはいませんでした。でも、霧間先輩の考え方もわからんでもなかったっす。間違ってるように見えることが本当に間違ってるとは限らない……? 的なことっすよね?」
 数秒の沈黙があった。
「まあニュアンスは遠くない。で、光はどう思うだろうか」
「夢見ですか……」
 あいつが物事を真剣に考える姿なんて全然浮かばないなあ。哲学? 何それおいしいの? とか言いそう。
「何も思ってないんじゃないですか? それにあいつ終始べろんべろんだったし」
 再び数秒の沈黙。俺は自然と息をのむ。
「やっぱりわかってないなお前は」
「え……何がですか?」
 わかってない? 何か変なことを言っただろうか。いや、言ってないよな……。
「光は見かけによらず物事をしっかりと考えてるやつだ。あたしが店員とやりあってたときはまだ起きてたろう? 何かしら考えてたはずだ」
「そうですかね……全くそんな風には見えなかったですけど」
「だから、見える見えないじゃなんだよ。なあ澤崎、彼女が欲しいならお前はまず女を知ることから始めろ。女は男ほど見かけによらない生き物だぞ」
 そうなのか? 光みたいに、どんくさくて鈍感そうで単純で下ネタも平気な女が? 信じられん。世の中には『逆に』っていう便利な接続詞があるが、それを置いてみても正解には思えない。
「あと澤崎、お前は自分すらちゃんと見えてないってことを自覚しとけ。じゃあまたな」
 もやもやする……ものすごくもやもやする!
「あ、最後に一言。ちなみに今回の件はあたしが70%悪だ。じゃあな」
 と言い残して、霧間先輩は電話を切った。
 霧間先輩は結局、何が言いたかったんだろうか。俺はそれすらわからないほどの男ってことなんだろうか。
 それから家まで、俺はなんとなく沈んだ気分で歩いた。
 ちらっと夢見の顔を見てみる。相変わらず顔は真っ赤だが、酔い潰れているというふうではなかった。
「うーん、こいつがねえ」
 何もかもがよくわからない一日だった。言ってしまえば、何をわかっていて何をわかっていないのかすらも、わからなかった──。
 
 

≪つづく≫

 

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