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恋愛・ラブコメ

ひねくれ俺たちの青春シャウト 7

   

叫部部長、霧間ミミは突然店員に喧嘩を売り始める。

彼女の言葉の真意と、1年生たちに伝えたかったことは一体!?

 

 それにしても、とんでもない美人だ。真っ直ぐな長い髪と整った目、鼻、口。夢見光とは全く逆のタイプ。いわゆる清楚系ってやつだ。こういうお洒落なところで働いてる人間ってのは皆こんな感じなのだろうか。
 なんて、俺は呑気にそんなことを考えていたのだが、他のみんなは違うらしかった。
 ほんの一呼吸分の間をおいて、部長はゆっくりと席を立った。一体どういうつもりなんだろうかとも思ったが、それくらいしか思考する余力は残されておらず、うまく状況を飲みこめないでいた。
 部長なんで起立してんの?
「おいあんた、酒飲む場で大声になるのは当たり前だろ? 暴れて人殴ったり物壊したりしてるならともかく、別にそこまで大そうなことはしてないじゃねーか」
「ミミ先輩……!」
 三木林先輩もすかさず席を立ちあがる。どうやらただならぬ事態のようだ。
 しかし普通に考えてみればわかる。店員の注意に対して反抗するということは常識に逆らうということと同義だ。酔っていてもそれくらいはわかる。
 無論、部長もわかっているはずなのだが――。
 注意にきた店員は20代前後といったところか、さすがはこういうところで働いているだけのことはある、相当の美人だった。しかし、今は部長に気おされてしまっている感が否めない。まあそれは仕方がないことだ。
 部長の語気溢れる饒舌っぷりは長年の友人でさえ怖気づいてしまうほどのものだと西条先輩が言っていた。
「しかしですね……。大声で叫ばれてしまうと他のお客様のご迷惑に……」
「酒を出す店で音量気にしてどーすんだよ! だったら店内で流れてる音楽だってお客様のご迷惑だろうが」
 店員が全てを言い終わる前に、再び部長のキレ味の鋭い台詞が飛ぶ。
 これは俺でさえ、少々やばい展開なのはわかる。
 まあこれは結局のところ、店長を呼べ! 的な展開に終局しそうだな。ありがちだが、今の雰囲気ではそれ以外に終着点が見えない。
 ところが、部長は自分の意見を淡々と述べるだけで、あくまでその店員に苦情を述べていた。
 もはやどちらが注意される側なのかわかったもんじゃない。
 あんたその店員に恨みでもあんのかよ……。
「どうかなさいましたでしょうか!」
 しばらくして、30代後半ほどの男の店員が小走りでやってきた。おそらくは店長だろう。さすがにこの騒動が伝わらないわけがないよな……。
「……いや、すまない。言い過ぎたよ。静かにする」
「うちの店員が何かお気に召されないことでもしましたでしょうか?」

 

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