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ひねくれ俺たちの青春シャウト 3

   

勇気を振り絞り、サークルの花見へと参加する澤崎。しかしそこで思いも寄らない人物と遭遇してしまう――。

そんな中、澤崎がとった行動とは――。

 

「あのー、今日メールした者なんですけど」
 低姿勢で輪の中に入っていく。
 すると、その場にいた数人が俺の声に気付き、こちらを振り返る。
「お、今日メールくれたやつだな! さあ座れ座れ!」
 少し男まさりな喋り方が気になるが、美人系の年上女性にブルーシートに招かれる。
 やばいぞ。見た感じルックスのレベルが高い。
 よし、ここからは会話に上手く溶け込めるかどうかが重要ポイントだ。まずは軽く、当たり障りのない内容で攻めよう。
「ありがとうございます。えーと、どこまでが叫部の敷地なんですか?」
「ん? このブルーシートにいる4人だけだよ? 新入生は君合わせて2人。1人はトイレに行ってる」
 と、ほんわか雰囲気のお姉さんが紹介してくれる。
 なるほど。と思って、しばらく考えた後の俺の反応はこれ。
「えっ?」
「ん?」
 ニヤリと笑うほんわかお姉さんの表情に俺は軽く辟易してしまう。
「いや! だってビラでは集合写真で軽く20人くらいいたじゃないですか! 偶然日程が合わなくて4人しか来れなかったとでも言うんですか!」
「よーよー落ち着け落ち着け新入生。ビラは釣りだよ」
 と、缶ビール片手にイケメン男が発言する。なにチャラい顔でかっこ悪いこと言ってんだよこの人……。
 てかマジですか……。
 俺、目つけたサークルミスっちゃった? まさかそんな、そんなはずはない。
 最終手段のサークル選択さえ、俺は神に見放されたっていうのか?
 くそ……納得できん。納得できんぞこの状況。
「おい、大丈夫か新入生? 酒でも飲むか? あーでもまだ酒は飲めないか。ソフトドリンクは少しだが一応あるぞ。あとはまあ、アルコール度数低めのチューハイもあるし……」
「あ、ビールか発泡酒ってあります?」
「酒には貪欲なのかよ!」
 その場にいる全員から突っ込みを食らった。
「いやーだって、もうこの際飲むしかないなーと思って。だって釣りなんですよね? だったらタダ飲みする為にとことん居座ってやりますよ。言っときますけど、遠慮しませんよ」
 叫部の先輩たち4人の様子がおかしい。やはり、急に態度を大きくし過ぎただろうか。だがしかし、間違ったことは言ってないつもりだ。インチキサークルだったのならば、それを大いに利用し尽くしてやるぜ。
 ていうかもう、ストレス溜まり過ぎて、酒という言葉を聞いて安心してしまった。今の自分ならなんでもできる気がする。どんな障害にも打ち勝てる気がする。なんなんだろうこの名状し難い自信。
「よーしいいぞ新入生! ほれ! ビールだ! 本当の自分をさらけ出すんだ!」
 プシュっといい音を鳴らして缶ビールが俺の手に渡される。そう、この感覚。俺が求めていたのは他の何でもない、暴れられる環境なのだ。
 本当の自分が出せる。
 そんな場所を俺は求めていた――。

 

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